歯医者さんと勝己くん【爆豪勝己】 (ページ17)

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16. 先輩ページ17

最寄りに着くと、私の町とはまた雰囲気が変わり、忙しくなる。周りは早歩きのスーツだらけ。私はその人達に逆らっていつも職場へ向かっている。

しかし、10分も歩くと人は次第に減っていき、周りにはマンションや住宅地が多くなる。

時計を見ると、8時10分。
いつもより5分早く着きそうだ。

『ふふ…』

この幸せな気持ちがつい口元を緩めてしまう。

今日はどんな患者さんが来るかな？と、今日の流れを考えようとしていると、突然声をかけられた。

「随分とご機嫌だな。」

『わ！先輩、おはようございます！あれ、今日は歩きなんですか？』
　

「いや、今日はリサが子供のついでに車で送ってくれてな。今日は発表会の予行練習なんだと。」

『そっか奥さんが！発表会いいですね！！可愛いだろうなあ…。』

「まぁな。気合い入ってたよ。」

この人は池田先輩。
大学時代からお世話になってて、今の職場を紹介してくれたのもこの人だ。腕が良くて、頼りになる先輩だ。

ちなみに5歳の娘さんが激かわ。

「で、なんか良い事でも？」

『良い事も何も、見ました？！昨日の体育祭！！！！』

「見たよ。…てかお前ヒーロー興味ないんじゃないっけ？」

『ないですよ？！……てか、なかったんですけど…！』

私はスマホをカバンから出して、爆豪くんの写真フォルダを開いた。

『見て！！！見てこれ！！』

私はスマホを先輩の顔の前に持っていくと、近い近いとスマホを取られた。

「あー爆豪勝己だよな？昨日優勝した。あれはすごかった。」

「そうじゃなくて！すごかったけど！！！もう！返してください！」

私はスマホを奪い取ると、口元を拡大して再び先輩に見せた。

『この歯を見て何とも思いませんか？？この歯を！！』

「歯？あーまぁ…うん良い形してるな。」

『それだけぇ？？！…見損ないましたよ先輩。瑠衣の方がまだ良い反応してました。』

「おー須波か。最近合ってないな。元気だった？」

『彼女に振られてたけどピンピンしてました。合コン誘われました。』

「ははっ須波らしいな。」

『もう瑠衣ったら昨日──』

なんて先輩に昨日の事を話しているうちにクリニックに着いてしまった。

さあ楽しい1日の始まりだ。