歯医者さんと勝己くん【爆豪勝己】 (ページ14)

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13. 表彰式ページ14

そこからの爆豪くんの快進撃は、それはもう凄くて。

騎馬戦では惜しくも1位を逃してしまったけど、その後の圧倒的な強さと彼の持つ信念に私は心打たれ、もうすっかり彼に夢中になってしまった。

何より始めてちゃんと見た雄英の体育祭は、自分が思っていた何倍も面白くて、どうして今まで見てこなかったんだと後悔した。

「でもまさか、本当に優勝するとは…。すごいなあの『あぁぁぁぁ歯が見えない！！！！！！！！』

「うるっさい！」

『ゔっ…痛い。』

思いっきり叩かれた肩がジンジンする。干イカを咥えた瑠衣に「ほんっとに好きだね…」とジト目で見られる。

『うーん、今までいろんな人の歯を見てきたけど……爆豪くんのはねドンピシャ。美術品みたい。』

ふーんと、興味なさげな瑠衣の声が一変して少しいたずらになる。

「…噛まれたい？」

『……噛まれたい。』

「正直か！」

盛大にツッコまれたので笑えた。別に自分がマゾだとかそういうわけでは決してないのだけれど、あんな綺麗な歯なら噛まれたいと思わざるを得ない。

『でも瑠衣こそ誰かの歯に感動したことあるでしょ？技工士じゃん！』

そうだ、瑠衣は歯科技工士じゃないか。

歯科技工士の仕事は、入れ歯や詰め物、矯正装置を患者さんに合わせて作成したり修理する仕事である。だから歯科医師の私よりも歯の形には敏感であるはずなのだ。

実際、瑠衣はかなり凄腕の技工士で、大学時代から優秀だった。仕事も早く丁寧で、私もとても頼りにしている。

「まぁ…尖ってる歯だと、おっ！ってなるけど、Aみたいに性的興奮を覚えるほどではない。」

『悪かったね、特殊な性癖で。』

あーあ。最後に表彰式で彼の歯を身納めておこうと思っていたのに、口輪をはめられていてこれじゃあ完全に見えない。

くそう…。

『てか、爆豪くん何でこんなに怒ってるの？』

「さぁ？僕もよく分かんない。でも最後の試合でなんかあったんだろうね。色々言ってたし。……しかしまあ、何というか異様な表彰式だね。」

例年のことは知らないけど、まあこれは誰から見てもカオスだろう。暴れている優勝者が表彰台に拘束されているのだから、穏やかではない。