歯医者さんと勝己くん【爆豪勝己】 (ページ12)

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11. 高校生ページ12

なるほど。確かに上玉だ。

イタズラっぽい口元からはやんちゃな感じが伝わり、世の女心をくすぐる年上キラータイプのかわい子ちゃんである。
黒いメッシュが入った黄色い派手な髪色も似合っていて、今どきの男子高校生な感じがとても愛らしい。

この写真だけでは微妙に歯が確認できないのが悔しすぎる。

「電気くん！可愛くない？」

『うんだいぶ可愛い。でもちょっと意外かも。』

「やっぱり？」

瑠衣がこういう系統の子を気にいるのは珍しい。
どちらかというと瑠衣はチャラい感じより男らしい顔の方がタイプなのだが。そう、例えば…

『ほら、この子とか好きそうじゃん切島くん。しかも瑠衣の好きなギザ歯じゃない？！』

口元をズームするとわずかに開いた口から尖った歯がチラリと見える。ほどよく日に焼けた肌と凛々しい顔つき。赤髪で一見ヤンキーっぽいけど、真っ直ぐな眼差しからは純粋さや真面目さが分かる。

「そうなの〜〜！この子ギザ歯なの！…でもね電気くんみたいに遊んでそうな子の方が意外と一途で特別扱いしてくれたりするの。逆に切島くんは誰でも平等に接しそうだから僕がメンヘラになってうまくいかなそう。」

『う…わ、言いたいめっちゃ分かる。…分かるんだけど、高校生相手にそこまで考えるの危ないわ…。』

しかも、瑠衣の場合は実体験に基づいているから余計にリアルなのだ。

「妄想するくらいタダでしょ？」

『相手は男子高校生。もう私達には遠い存在なのだよ…。』

私が遠い目をして呟くと、瑠衣はソファに思いっきりもたれて、高校生に戻りたーい！と叫んだ。

そんなの戻れる事なら誰だって戻りたいものだ。私達はただ、“合コン”や“婚活”なんて言葉からはかけ離れた甘酸っぱい恋愛に飢えている20代だというだけなのだ。
いつまでもJKマインドで生きていきたいだけなのである。だからテレビの前で酒を飲みながらわーきゃー言うくらい許してほしい。

《さあ！雄英体育祭第二種目、騎馬戦の開始まで残りわずかとなっています！》

アナウンサーの興奮を抑えきれていない声を合図に私達の意識はテレビに戻った。

《現在1位はA組、緑谷出久選手です！さあ、第二試合はどんな熱戦が待っているのでしょうか！注目です！！》

そして画面は会場の中継に切り替った。