歯医者さんと勝己くん【爆豪勝己】 (ページ11)

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10. 豊作ページ11

『まって轟くんイケメン。』

「うん…整ってるよね。」

『ほう歯並びも良しと来た…。こりゃ世の女子は黙っちゃいないぜ？』

私はギラリと目を光らせると、瑠衣はチッチッチと人差し指を振り、何やらスマホで検索し始めた。

「確かに轟焦凍くんの女子人気No.1は否定出来ない……が！！！今年の1年生はなかなかの豊作なんだよ！」

バーン！と効果音がつきそうな動作で瑠衣はスマホを見せてくる。

そこには体育祭に選手として出ている1年生の一覧表が載っていた。しかも個人写真付きである。

『え、どうしたのこれ。』

「実はそこそこデカいヒーロー事務所で働いてるお友達がいてさ、特別に送ってもらってるんだよね毎年。」

えぇ、いいのかそれ…。個人情報だよね…？こんな一般人なんかに渡していいわけないよね？
不安に思う私をそっちのけで、だーいじょぶよなんて言いながらスマホを操作する瑠衣。

えぇホントに…？

「ほれ、バクゴウくん。」

『え！！！！！！！！』

私は何のためらいもなくスマホを奪い取り、彼の顔を目に焼き付ける。

青い背景に制服を着ているのでおそらく学生証の写真なのだろう。残念ながら歯は見ることはできないが、高校生1年生らしい少年のあどけなさを残しつつ、バランスの取れた彼の顔は、歯を含めずとも私の好みなのだった。

『やーん可愛い〜！この顔面でこの口開けたら、あんなに綺麗で野生的な歯があるんだよ？！興奮する要素しかない…。』

「まあ、確かに良い歯してるよね。しかもあれは矯正とかした綺麗さじゃない。」

『うんあれは絶対矯正じゃない。きっとご両親が小っちゃい頃から指導してあげてたんだろうね…。ありがとうございます……。』

あとで写真送ってと言うと瑠衣は、内緒だよとその場で送ってくれた。

あぁ、一度でいいから彼の歯をこの手でなぞりたい。想像しただけで興奮して、頭の芯が痺れる感覚を覚える。

画像を見ながらうっとりしていると、爆豪くんタイム終了〜と瑠衣にスマホを取り上げられた。

「僕のオキニも見したげるよ。」

『みたい！！みたい！！』

瑠衣が指を滑らせ、流れていく沢山の顔写真を横から覗き込む。

こんなにいっぱいヒーローになりたい子がいるんだなあ…と改めて“ヒーロー”という職業の人気に驚かされていると、瑠衣はとある男の子を指差し、この子！と私に見せてきた。