#07 回し蹴りと自転車 ページ8
「預けておいたやつは、どこだ?」
「…こちらに」
舞弥は、クローゼットからケースを持ってきた。
それを切嗣は受け取ると、テーブルの上に乗せ、フタを開けた。
「…?」
Aには“それ”がどんな銃器なのかわからなかった。
しかしそれは、切嗣にとって大事なものなのだろうと悟った。
「そこのワルサーよりもな、イリヤの体重は軽いんだ。もう八歳になるのに…」
切嗣は突如、苦々しい述懐をもらし始めた。
刹那、同じ気持ちになりかけたAの身体は、無意識に動き始める。
舞弥はその行動に気づき、止めに入ろうとしたが、間に合わなかった。
「…ごめん」
“少女”は静かに呟き、彼の腹へ回し蹴りを入れた。
「っー!?」
「仕事中です。余計なことは、考えるだけ無駄です」
冷静に、自身の感情がもれないように、言う。
「…」
回し蹴りが効いたのか、切嗣からの言葉はなかった。
「…やりすぎなのでは」
「…私には、これしか方法が浮かばなかったの。…ねぇ」
「…?」
「舞弥がキスするとか、そっちの方がよかったのかもしれない」
「…そうね。A、そろそろ」
舞弥に言われ、ハッとした。
「…お母様のところへ行かないと」
予め持ってきた、竹刀袋のような特注の袋に、愛用銃を入れる。
普段は太ももの部分にも銃を装備しているが、流石に昼間からつけていたらバレるということで、今回はつけないことにした。
「A」
ふと、呼び止められた。
「これを持っていくといい」
そう言い、切嗣にスマホを渡された。
「…はい」
「全ては、Aの行動にかかっている。期待してる」
「…頑張ります」
Aは、ホテルを後にした。
〜〜〜〜
「…さて」
ホテルから出て、待ち合わせの場所へ向かうA。
切嗣の話によれば、2人は今、繁華街にいるという。
しかし、歩いていると日が暮れてしまう。
だからといって、Aには、年齢的にバイクや車は運転できない。
「…あれしかない」
ふとAの目に入ったのは、自転車屋さん。
店の中に入り、数分で青いマウンテンバイクを購入した。
「…」
店を後にすると、自転車に跨り、繁華街へと目指した。
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イリア(槍兵)(プロフ) - 桜華さん» きましたよおおおおお(( (2015年6月26日 19時) (レス) id: 56cd956c21 (このIDを非表示/違反報告)
桜華(プロフ) - イリア(槍兵)さん» ウェイバーァァァァァァァアァアε=ε=(ノ≧∇≦)ノε=ε=(ノ≧∇≦)ノキテコレキタコレ┌(・ω・┌)==∋∋ (2015年6月26日 18時) (レス) id: 806ee2b350 (このIDを非表示/違反報告)
イリア(槍兵)(プロフ) - 桜華さん» 征服王、きました(( (2015年6月23日 17時) (レス) id: 56cd956c21 (このIDを非表示/違反報告)
桜華(プロフ) - イリアさん» きましたね、征服王ww (2015年6月21日 20時) (レス) id: 806ee2b350 (このIDを非表示/違反報告)
イリア(プロフ) - 桜華さん» そうですよ〜!! やはり最後は感動的でした… (2015年6月21日 1時) (レス) id: 56cd956c21 (このIDを非表示/違反報告)
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