胸痛と息苦しさ 一話のみ ページ1
会社員じろ28
しろごろ17
リビングでのんびりゲームをしていると四郎の携帯に五郎から着信が入った
四「はーいもしもしー」
五「今家にいる？」
四「いるよー？」
五「ちょっと玄関の前でいいから外で待ってて欲しい…あと2分もかからないから…」
四「…うん、分かった…」
心なしか息切れ気味の声に心配になりながらもとりあえず玄関の外に出る
四「あ、あれかな」
1分も経たないうちに家の前に止まったタクシー
四「タクシーで帰ってきたの？」
五「ん…立ってられなくて…」
四「そういうことなら迎えに行ったのに…」
五「ごめ…」
長年の闘病で痩せ細った身体はこんな俺でも軽々持ち上げられるほどで。
四「じろさーーん」
二「はいはいー…うわっ、どした」
四「とりあえず靴脱がせてあげて」
二「了解。…ちょっと熱いな」
四「ごろさんもうすぐ横になれるからねー」
1階に常備された布団に五郎を寝かせれば痛む胸を握りしめて浅い息を繰り返す
二「薬はどうした。飲んだか？」
五「ん…」
二「なんで電話しないかね…」
五「ご…っ…」
二「あぁ、大丈夫…今は喋らないで」
五「はぁっ…っ」
二「だいぶ落ち着いたな」
四「水飲める？」
五「ん…」
横になった途端に酷くなった胸痛と息苦しさが収まるまでじろにぃはずっと身体を撫でてくれた
早く治まれと焦るほどに早くなる呼吸をしろは一緒に横になってコントロールしてくれた
五「はぁ…はっ…っ」
二「だから落ち着くまで喋るなってば…」
四「大丈夫ですよ焦らなくても」
五「ん……り、がと…っ…ぅ……」
二「うん……伝わってるよ」
未だ少し荒い呼吸の間で感謝を伝えれば
じろにぃは困ったように笑うから
伝わってないのかと思って必死に口を動かせばもう大丈夫と胸をくるくると撫でてくれた
二「夕飯の時に起こすから。ちょっと休みな？」
四「俺ここにいるからね」
五「…ん……」
息苦しさが収まれば今度は強烈な眠気が襲ってきた
じろにぃの手も相まってすぐに寝落ちてしまいそう
二「…ゆっくり休めな…」
最後に見えたのは隣で微笑むしろの顔と
少しだけ泣きそうなじろにぃの顔だった
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作者名：はなぶさ | 作成日時：2020年9月27日 12時
