第2話 変態 ページ4
じろり、とリチェレッタを睨みあげた後、携帯を奪い取る。
『ヴィーチャ、遅くなって悪かった。
・・・リチェが元に戻してくれなくて。』
『いや、Aに戻ったならいいんだよ。
リチェにこの前、
「Aの次の大会は、純粋な少年の役にしてみたんだー!
きっと素直な態度で、オレに従ってくれるんだろうなぁ。
明後日からの練習が楽しみだよ!!」
って聞いてたから、まさかと思ってね。』
『なるほど、ね。
まさか、練習が終わっても僕に戻さないのが、この僕が素直な態度でリチェに従ってるが珍しくて面白いから、なんてくだらない理由からだったなんて思ってもみなかったよ。
教えてくれてありがとう、ヴィーチャ。』
言葉を重ねるにつれて、リチェレッタを睨んでいる目が、だんだんと塵を見る目になっていく。
リチェレッタは既に両手を挙げて降参のポーズをとっている。
『そうだ!
今晩、大事な話がしたいからまた電話するね。』
『大事な話・・・?
分かった。
いつまでも待ってるよ、ヴィーチャ。』
まるで恋人に囁くような優しい声で電話を切ったAに、無自覚はこれだから云々と考えていたリチェレッタは、次の一言で現実に引き戻された。
「こんの、ど変態が」
「ままま待て!!
オレは変態じゃない!」
「はあ?
順従な態度の少年が好きとか、変態以外の何者でもないだろ。
寝言は寝てから言えよ。」
コーチに向かって言っているとは思えないほど辛辣な言葉を並べる。
「ご、誤解だ!誤解!!
だいたい、少年とはいえ、演じてるのはお前だぞ。
コーチが教え子をそんな目で見るわけないだろう!」
ギシリ、と軽薄な笑みを浮かべていたAの身体が動きを止めた。
それを見たリチェレッタは、しまった、と顔を歪める。
「・・・悪かった。」
シン、と再びリンクに静寂が訪れた。
Aはゆるり、と首をふり、大丈夫だと言外に伝える。
そして、ニヤリと人を食ったような笑みをたたえて言った。
「・・・否定しないってことは、つまり自分は少年が好きなど変態野郎ですって認めたって、ことだよな?」
「〜っ!!
だから、違うって!!!」
それからしばらく、この事で弄られるリチェレッタであった。
215人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
【ユーリ!!!on ICE】勝生勇利には能楽師の兄がいた!!【第二幕】
【ユーリ!!! on ICE】a ray of hope【男主】
もっと見る
「男主」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
るろまる(プロフ) - フィーアさん、コメントありがとうございます。ノンビリですが更新していきたいと思っています! 感想、とても嬉しかったです! (2017年1月12日 12時) (レス) id: 6d0c896ab0 (このIDを非表示/違反報告)
フィーア - とても面白かったです!!!更新頑張ってください!! (2017年1月9日 17時) (レス) id: 65845fd388 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:るろまる | 作成日時:2016年12月11日 22時