第11話 意思 ページ13
「それにしても、着くの早かったね。
A、疲れてないかい?」
心配そうにこちらを見やるヴィクトルの心遣いにほっとする。
「国を行き来するのは慣れているから大丈夫だよ。
ところで、ヴィーチャは勝生くんとユーリくん、どっちのコーチをしているの?」
「それが、ちょっとややこしくなっちゃって。
俺は勇利のコーチをしにきたんだけど、ユリオが俺をロシアに連れ戻しにきたみたいでね。
しょうがないから、2人に勝負してもらって、勝った方の言うことを聞くことになったんだ。
今は、2人のコーチをしている。」
「しょうがないって何だよ!」と吠えるユーリと、申し訳なさそうに苦笑いしている勝生くんを交互に見た。
「だいたい分かった。
けど、
・・・それで、ヴィーチャはいいの?」
(もし、その行為がヴィーチャの意思と異なるなら、僕はそれを許さない。)
一気に空気が冷えた。
まるで、演技中のように空間が支配される。
「いいんだよ。
俺は、俺の意思で動いているからね。」
ヴィクトルの朗らかな笑みに力が抜ける。
「そう。
僕は次の大会、つまりグランプリシリーズに向けて用意した曲の2つ目が滑れるようになるためにきたから、2人の練習を邪魔しない程度に指導を頼むよ。
まあ、しばらくしたら僕はチャリティーイベントに参加しに北海道に飛ぶから、それまでの間になんとか形にしたいところなんだけど。」
「ワオ。
それじゃあ、邪魔しない程度に、なんてなりふり構っていられないね。
今日は、勇利とユリオの練習の後にAが2曲目をどこまで滑れるのか見ようかな。」
「了解。」
パンッ
ヴィクトルは気持ちを切り替えるように、手を叩いた。
「早速始めるよ。
まずはユリオ。
アガペーを滑って見せて。」
「分かった。」
リンクにいたAとユーリが入れ替わる。
音楽が流れると同時に、なめらかに滑り始めた。
ーーーーーー
補足
冒頭に○○sideとある場合は、○○の視点で書いてます。
今回のように冒頭に何も書いていない場合は、全てAsideです。
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るろまる(プロフ) - フィーアさん、コメントありがとうございます。ノンビリですが更新していきたいと思っています! 感想、とても嬉しかったです! (2017年1月12日 12時) (レス) id: 6d0c896ab0 (このIDを非表示/違反報告)
フィーア - とても面白かったです!!!更新頑張ってください!! (2017年1月9日 17時) (レス) id: 65845fd388 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:るろまる | 作成日時:2016年12月11日 22時