マーガレット (ページ6)

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#06 苺の飴ページ6

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エ『なんでだよ…』

そ『え、なに？』

エ『ごめん、そら。』

俺の行動に困惑するそらを置いて、俺は人の流れに逆らうように走り出す。途中みっくん達の声が聞こえた気がするけど、それを無視してでも俺の足は止まらなかった。

あいつは今一体どんな顔をしているんだろう。そう考えたらいてもたってもいられなかったんだ。

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エ『はぁ…はぁ、』

一度だけ彼女を家まで送ったことがある。
その日も今日みたいに風がまとわりつくような暑い日で、彼女は溶け始めたアイスを頬張りながら夏は嫌いなんだ。なんて話ていた。

額の汗を拭いながら呼吸を整え、初めて彼女の家のインターフォンを鳴らしたんだ。

──ピンポーンピンポーン

規則的なベルの音に冷静になりつつあった俺は、もし彼女が家に居なかったら…と体が動くまま行動した事を後悔した。

「…な、んで…」

諦めかけたその時、愛おしい彼女の声が聞こえる。
カメラで俺の事を捉えたであろう反応に、俺は笑顔を向けた。

エ『やっほー！エイジだよぉ～』

今世紀最大のとびきりの笑顔で。
俺につられて彼女も笑ったから、俺は少しでも彼女の役に立てたんじゃないかなって自惚れた。

「今すぐ行く。」

そう言って切られたインターフォン。
さっきまで明るかった部屋の電気が消えてどんどん俺の方へと明かりが来るのがわかった。

エ『なんで浴衣じゃねぇんだよ。』

「なんでって…」

玄関から出てきたと同時に、胸キュンとは程遠い普段着な彼女にわざと冷たい言葉を浴びせる。

エ『新しい浴衣買ったんだろ？』

「そうだけど…着る理由がなくなっちゃった」

伏し目がちに彼女が笑う。
そんな笑顔を見たいわけじゃないのに。

エ『これ、あげる。』

「……」

エ『なにいらないの？笑』

彼女を笑わせたくて、笑ってるところが見たくてとっさにおばあちゃんから購入したキラキラした赤いイチゴ飴を差し出す。

「牛串が良かった…」

エ『図々しくない？笑』

「嘘嘘。いちご飴大好き」

りんご飴より少し安めなその飴は、どうやら彼女の好みだったらしい。
財布が寂しかっただけで選んだそれを、俺は少しだけ誇らしく思った。

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