#02 先輩 ページ2
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『えいちゃんまたね!』
エ『ばぁーい!』
また仲間と馬鹿した帰り道。
今日は汚ったねぇほぼドブ化した川からダンボールで作った船で渡航しようとした。案の定上手くいくわけなくてたった数センチ進んだだけで見事沈没。
それでも俺らはただ楽しくて、汚い川だなんて関係なしに飛び込んだんだ。
ずぶ濡れになった体操服。
鼻をつく異臭に身を包みながら、ペタペタと音を鳴らし家までの距離を歩く。
今日はどんな編集にしようか。
なんて考えるそんな毎日が楽しくてたまらない。
「まーた汚れてる(笑)」
エ『げっ』
そんな前に現れたのは、今日もまた短いスカートから足を出したあの日の君がガードレールに腰掛けていた。
「げってなに?!人を妖怪みたいに!」
エ『妖怪みたいなもんでしょ』
「はぁ?…ってか、臭っ!!!」
思いっきり俺から放たれるけしていい匂いとも言えない悪臭が鼻につき眉間にシワを寄せる。
おまけに指で鼻をつまむオプション付きだ。
エ『あんたに関係ないだろ』
「関係ないけどー!毎回毎回会う度になんでこんなに汚れてんの?笑」
エ『ぅるせーよ…』
異性に汚れた姿を指摘されて、さっきまで楽しかったのに一気に恥ずかしさが押し寄せてくる。
なんだかガキ扱いされてるみたいで、たった2歳しか離れていないであろう年齢に苛立ちを覚えた。
「もー…秋山くんのお母さんも大変だわ」
エ『お前には関係ないだろ』
「お前じゃない。A!A先輩」
先輩なんだから敬語使ってよねー?なんて、ケラケラ笑いながらまたあの時みたいに俺に背を向けて歩き出す。
エ『誰がお前になんか敬語使うかよ!』
彼女を追いかけるように大声で言い放った言葉も、彼女の耳から一瞬で通り抜けてしまい乱雑に空を切った。
彼女は一度も振り返ることなく、カバンを持たない空いた手でヒラヒラと左右に振った。
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作者名:あや | 作成日時:2019年5月26日 23時