めくれたオレンジ１＊Nichkhun story＊under ページ11
＊ニックンside＊
日付が変わってすぐにメンバーが僕の誕生日を祝ってくれて。
家族からもメールが届いた。
友達からはたくさんのメッセージ。
ペンの皆から貰った暖かい気持ち。
僕は嬉しかった。
本当に。
だけど、いつからか満たされることが無くなってしまったこの心。
それに気付かない振りも出来ないほど、僕は渇ききっていた。
自分自身に。
仕事が忙しすぎて恋人とも別れた僕は。
誕生日だというのに、グラスの中で不規則に泡立つシャンパンをカウンターの端で一人味わっていた。
シャンパングラスの横には綺麗にカットされたフルーツが盛られたスクエア皿が並び。
躊躇いながら摘まんで食べたオレンジはただ僕の指を濡らしただけだった。
あぁ。
これもか。
僕は濡れた親指を舐めた。
ふと視線をずらせば、僕の一つ隣には赤いワンピースを着た一人の女性。
その彼女の横顔が何故か僕を惹き付けた。
彼女はラズベリーとブルーベリーでデコレーションされたガトーショコラを見つめた後、フォークをゆっくりと入れ静かに口に運び始める。
『今日、誕生日なんです。私』
彼女はケーキから視線を外すことなく、独り言のように呟いた。
僕は彼女を見る。
『彼が求めるような私でいたつもりだったのに』
彼女のフォークで潰されていくベリーからは、甘い香りがするのに。
『私といると疲れる、そう言われたの』
僕はベリーの味が思い出せないでいる。
『彼が好きだって言っていた私の笑顔も。偽物だからもう必要無いって』
彼女の指は止まることなくケーキを口に次々に運んでいく。
『それでもせめて、このケーキだけは一緒に食べたかった』
そして最後の一口となったケーキが、チョコレートソースで描かれた“Happy Birthday”を消した。
お皿の上にフォークを置いて。
そして彼女はゆっくりと僕を見て、泣いたように笑った。
『私は上手に笑えてないですか!?』
その瞬間。
僕は彼女の手を掴んだ。
驚いた顔の彼女を余所に店を連れ出た僕達。
雨が降り出した通りで急いで止めたタクシーに彼女を押し込めて、僕も続いて乗り込んだ。
『君の家はどこ!?』
彼女の指に僕は指を絡める。
絡めた指先にぎゅっと力が入れられ、タクシーは走り出す。
後部座席の濡れる窓に映る彼女の横顔。
“クンヒョンの横顔は綺麗だね。だけど何でかいつも寂しそう”
何時だったかウヨンに言われた言葉を思い出し気付く。
あぁ。
そういうことか。
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エイジ(プロフ) - 月花さん» お返事遅くなりましてすみません。オーラスから未だ感情が上手く整理出来ずにいます。ひたすらテギョン一色で書き綴った一話でしたが、しがないオクッパの心の内をさらけ出してしまいました。私が次にテギョンに会えるのはドーム。この目にしかと彼を焼き付けてきます。 (2016年7月17日 1時) (
レス) id: d1cda00c22 (このIDを非表示/違反報告)
月花(プロフ) - 久しぶりにエイジさんのお話が読めて嬉しいのと、このお話はテクペンのエイジさんだからこそのお話だなぁと思いました。その距離も関係性も分かってはいるけど、時折辛くなりますよね。店員さんが何を言ったのかが、気になります。切ないけど素敵なお話有難うございます (2016年6月2日 16時) (レス) id: 2db226cba0 (このIDを非表示/違反報告)
エイジ(プロフ) - じゅんたさん» コメントありがとうございます(*^^*)余りにおひさしぶりの更新ですみません。まだまだ、書きたい気持ちはたくさんですので、のんびりとお付き合いいただけると嬉しいです!! (2015年12月2日 18時) (レス) id: 9c27d96a79 (このIDを非表示/違反報告)
じゅんた(プロフ) - 久しぶりのエイジWorld堪能しました。ありがとうございます(人´∀｀) (2015年12月2日 6時) (レス) id: 017662d541 (このIDを非表示/違反報告)
エイジ(プロフ) - りえぞうさん» コメントありがとうございます。嬉しいです、オクッパ同士ですね♪これからも、テギョン溺愛で行きますので、また遊びに来てくださいね!!私も、初めまして♪こんばんは♪(*^^*) (2015年8月16日 23時) (レス) id: 9c27d96a79 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：エイジ | 作成日時：2015年6月7日 22時
