あなたの側にいさせて。【エイジ】 (ページ1)

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01.当たり前の景色。ページ1

「おはよー」

エ「はよーっ」

「なにその顔。もっと元気だしなよ。せっかくの卒業式だよ？」

エ「お前朝から声がでかいんだよな～」

そういって、長い前髪を流すのは
幼馴染のエイちゃん。

家が近所なこともあって、いつも一緒にいる。

そのせいか、今は彼氏や彼女を持つこともなく
高校の卒業式を迎えた。

ツ「おはよう！Aとエイちゃん！」

「みっくんおはよう！」

この子はみっくん。
彼も私とエイちゃんの幼馴染。
保育園から一緒。

好きな人が出来たり、告白されたり、
付き合ってみたり、そんな人は居たけれど、
なんか違う気がして、結局別れてしまう。

なんだかんだ、いつも側にいた彼が落ち着いて、
なぜか気づけば一緒にいる。

私とエイちゃんはお互いそんな関係。

高校の卒業式を迎え、私たちが選んだ道は、
アバンティーズという名で動画投稿をしよう。という未来が見えるかわからないような仕事。

仕事とよんでいいのか…という疑問もあったけれど、「大丈夫だ」となぜか自信満々のエイちゃんに流されたのが事実。

卒業式も無事終わり、アバンティーズとして一緒に活動していくエイジツリメそらちぃリクヲと五人で打ち上げをかねてエイちゃんの家に集まった。

そ「俺ら卒業したから、もう自由じゃね？」

ツ「なんでも出来るね」

なんていう二人に

エ「3月31日までは高校生ってこと忘れないでね」

なんて時々まじめな顔をしていうのがエイちゃんで、そんな姿にドキッとする事がよくあった。

ふざけてるように見えて真面目で、有言実行する彼の姿が時々カッコよく見えて、好きになってはいけない。と首を横に振ることが何度かあった。

小さい頃、
私が男の子と遊んでいて、先に走っていく友達を追いかけようとして転んで泣いてしまった時、遠くから走ってきたエイちゃんは、私の頭を撫でて、

エ「泣くな。僕が側にいるから。」

なんて言ったんだ。

その頃から、私の悲しい時や嬉しい時は、絶対にエイちゃんが側にいる気がしてる。

無意識だろうか？

それはそれで、ずるい気もする。

真剣にそんなことを思い出していると、
「なに真剣な顔してんの？」とエイちゃんに覗き込まれた。

「エイちゃんってさぁ、いつも側にいるよね」

エ「なんの話？」

「私のスーパーマンのようだね」

エ「なに言ってんの？頭おかしくなったの？」

そんな事を言って、また私の頭をポンポンっと撫でる。

あざといやつ。