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『すぐに身元は分かるでしょう。
アカウントの特定は出来ていますし、弾は体内に残ったまま。治療には器具も時間も薬も必要になります。
逮捕した暁にはすぐさまご連絡差し上げます。』
『本当に申し訳ありませんでした。』
警察と院長に頭を下げられ、2人は孤児院を後にした。
廊下に出ると数人、子どもたちが固まっている。
何人かは警察官にくっついて行ったが、残った子どもたちは黒須やノコルを取り囲む。
くいっとデールの裾を引かれた。
女の子が寂しさと不安が入り混じった顔でノコルを見上げていた。
『大丈夫、大丈夫。ノコルは平気だよ？
また、くるからね？また、遊ぼうね？』
子どもたちの頭を撫で、優しい声を掛けている。
車に乗り込むまでノコルは笑顔で応対し、乗ってからも子どもたちの姿が見えなくなるまで手を振っていた。
…
……
「下手くそ」
帰り道、ノコルが黒須を詰る。
「何で仕留めないんだよ。子どもたちに心配させたじゃないか。」
「いや、拳銃でしか対処出来なかったんですよ？上出来でしょ？」
「ゆうすけでも同じか？」
…
そう、問われると黒須は辛い。
先輩の腕ならあるいは…
いや、取り逃がしたのはマズかったが、あそこに死体があるのもマズくないか？
答える事が出来ず、黒須は無言で車を走らせる。
「ちょっと停めて」
言わるがままに停めると、ノコルは後ろの席からすいと黒須に身体を寄せた。
「痛むか？」
絆創膏が貼られた頬を小さな指が撫でる。
「いえ。大丈夫で…」
「血が滲んでる。貼り替えよう。」
ピリッと剥がされ、新しい絆創膏が丁寧に貼られた。
心配そうに伏せられた目。
至近距離にある淡い目がキレイだ。
黒須はそんなことを考える自分に驚く。
「マタとシチに連絡は？」
「いや、まだだ。」
「では、心配してますね。急ぎましょうか。」
「お前が言うな。」
運転している黒須の耳に電話をかけたらしいノコルの声が聞こえる。
どうやら怒られているらしく、分かったを連発している。
ぞんざいな口調は照れ隠し。
後部座席で通話している男は、我儘で素直だ。
そして、彼の内側にいるものには愛情深いのだなと。
改めて知る黒須であった。
この一件を聞いた乃木がバルカに行くと騒ぐのはもう少しあとのお話。
おしまい
続く (更新停止中)
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ちえさん(プロフ) - ねこにゃんさん» ねこにゃんさん、嬉しいコメントありがとう。そうなんです、黒須の役目はノコルのお守りであり警護なのだと思っています。叱られノコル、気に入って貰えて嬉しいです。私も好きなシーンです。 (10月4日 18時) (
レス) id: 1ddc255e22 (このIDを非表示/違反報告)
ねこにゃん(プロフ) - ちえさん、第2弾ありがとうございます！ノコ黒の距離感、縮まってる気がします〜〜。ラストの叱られノコル、かわいいです💛好物です💛本編では黒須はテントの見張りのようでしたが、ノコちゃんのお守が主なお役目なのかもですね。ありがとうございました。 (10月4日 18時) (レス) @page43 id: e6e2755141 (このIDを非表示/違反報告)
ちえさん(プロフ) - あんずさん！いらっしゃいませ。１人佇むノコル、印象的でしたね♡きっと１人背負い込んでしまうと思って…。助けてくれる人がいるよ、という気持ちで書きました。ここは黒須の出番ですよね😁気に入っでいただけたのなら嬉しいです。 (9月25日 0時) (レス) @page38 id: 1ddc255e22 (このIDを非表示/違反報告)
あんず(プロフ) - ポツンとバルカに残されたノコル姫、とっても心配しておりました… 強がって意地張っていても身体は正直ですね(；；) お話にしてくださってありがとうございます！姫を頼んだよ黒須…！ (9月24日 23時) (レス) @page38 id: a42c516e80 (このIDを非表示/違反報告)
ちえさん(プロフ) - ねこにゃんさん» ねこにゃんさん！早速ありがとうございます。本当に大切に育てられた姫でしたよね〜。ベタベタ甘やかしそうな乃木兄さんと、厳しく鍛えるけど要所は押さえる黒須。いいコンビでした。続編？ええっ？続編はあまり期待しないでくださいね〜(汗)。 (9月24日 18時) (レス) id: 1ddc255e22 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちえさん
| 作成日時：2021年4月25日 16時
