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あれから、ノコルは普段通りに仕事を続けていた。
休養を勧める周囲の声をのらりくらりと躱し、そのくせ点滴のお世話になっている。
何とかしたいと思いながらもマタもシチも手をこまねいていたのだが。
何かに気づいたように、シチはスマホを取りだした。
『これは俺が勝手にやったことだ。お前は関係ない。いいな。』
どこかへ電話をかけ始めるシチ。
マタは電話先に心当たりがあるのだろう。
『俺も同じことを考えていたから、同罪だよ。』
そう言うと二人、顔を見合わせて頷いた。
「ちっ。」
通話が終わったばかりのスマホを抱えたまま、ベッドに転がり、ホテルの天井を眺める男。
黒須である。
黒須は乃木に守り刀を託された男だ。
自身はノコルのボディガードというよりも、会社が軌道に乗るまでの補佐だと考えていた。
裏金工作が当たり前のこの国では、やり手とはいえ潰されてしまう危険性もある。
ブレーンを失ったノコルの右腕…とまではいかないが、社の内外で目を光らせておく事は出来ると思っていた。
だからこそ、営業の顔をしていたし、プライベートに踏み込むつもりもなかった。
まかかこんな風に頼られるとは黒須としても意外だった。
電話はシチ、ノコルの側近からだった。
頼まれたからにはやりとげねばならないとは思っている。
思ってはいるが…
「向いてねぇーんだよ、子守なんかさー」
ウダウダとベッドの上で転がる黒須。
だが志ん生の出囃子の音が鳴ると同時に別班の顔になった。
それはノコルが倒れて一月ほど後のことだった。
『社長、ご予約無しのお客様がいらしています。お会いになりますか？』
『誰？』
『JKT資源開発の黒須様ですが』
『わかった。会うよ。』
細身のスーツににこやかな笑顏。
『どうも。お世話になっております、社長。』
にこやかな笑みを見せる黒須に、ノコルは椅子を勧める。
ドアが完全にしまったのを確認し、黒須は特殊な器具を取り出した。
「おい。チェックなら、毎日しているが、」
ノコルは日本語に切り替える。
しーっ。
黒須が無言でポーズを取ると、観葉植物を指した。
控えていたマタとシチが廊下へ運び出す。
『おい、これは玄関へ運んでくれ。社長室に植物はいらないそうだ。』
指示する声が聞こえてくる。
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ちえさん(プロフ) - ねこにゃんさん» ねこにゃんさん、嬉しいコメントありがとう。そうなんです、黒須の役目はノコルのお守りであり警護なのだと思っています。叱られノコル、気に入って貰えて嬉しいです。私も好きなシーンです。 (10月4日 18時) (
レス) id: 1ddc255e22 (このIDを非表示/違反報告)
ねこにゃん(プロフ) - ちえさん、第2弾ありがとうございます！ノコ黒の距離感、縮まってる気がします〜〜。ラストの叱られノコル、かわいいです💛好物です💛本編では黒須はテントの見張りのようでしたが、ノコちゃんのお守が主なお役目なのかもですね。ありがとうございました。 (10月4日 18時) (レス) @page43 id: e6e2755141 (このIDを非表示/違反報告)
ちえさん(プロフ) - あんずさん！いらっしゃいませ。１人佇むノコル、印象的でしたね♡きっと１人背負い込んでしまうと思って…。助けてくれる人がいるよ、という気持ちで書きました。ここは黒須の出番ですよね😁気に入っでいただけたのなら嬉しいです。 (9月25日 0時) (レス) @page38 id: 1ddc255e22 (このIDを非表示/違反報告)
あんず(プロフ) - ポツンとバルカに残されたノコル姫、とっても心配しておりました… 強がって意地張っていても身体は正直ですね(；；) お話にしてくださってありがとうございます！姫を頼んだよ黒須…！ (9月24日 23時) (レス) @page38 id: a42c516e80 (このIDを非表示/違反報告)
ちえさん(プロフ) - ねこにゃんさん» ねこにゃんさん！早速ありがとうございます。本当に大切に育てられた姫でしたよね〜。ベタベタ甘やかしそうな乃木兄さんと、厳しく鍛えるけど要所は押さえる黒須。いいコンビでした。続編？ええっ？続編はあまり期待しないでくださいね〜(汗)。 (9月24日 18時) (レス) id: 1ddc255e22 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちえさん
| 作成日時：2021年4月25日 16時
