case5 16 ページ44
「自販機だけど。」
そういいながら、松本さんが全員分のコーヒーを置いて席に着く。
大野さんが軽く咳払いをして、皆を見回した。
四人の視線を集め、大野さんの長い長い話が始まった。
「今から6年前。妙な事故が起きた。
結果的に、俺が所轄で担当した最後の事件になるんだけど。
とある男性が自宅の階段で転落死したんだ。」
自宅で？
思わず呟いた俺に大野さんが軽く頷く。
「そう…。こいつ、本当にどうしようもない男でさ。
そこそこ腕はあるんだけど、パチンコに夢中になってクライアントとの約束すっぽかしたりとか…
そんなことが何度かあって、会社を辞める羽目になって。
自業自得なんだけどさ？本人はそう思わなかったみたい。
これ見よがしに遊びはじめた。
昼間から酒を飲むようになって、これまでにも増してパチンコにはまっていった。
もちろん、生活も荒れた。酔って暴れて、奥さん傷つけて…。
でも、酔いがさめると、悪かったって。
二度と飲まない、パチンコもしないって。
でも、二日もすれば酒とパチンコ…
悪循環を繰り返す。
事件の前日。
財布が見つかったって、警察から電話があったらしい。
たまたま、奥さんが外出してて。
運悪く一人で飲んでた旦那が電話に出た。
虫の居所でも悪かったのか、隠し事が気に入らなかったのか、奴は激怒した。
買い物から帰ってきた奥さんに怒鳴り散らかして。暴れて。
「奥さんが殺されちゃう」ってご近所から通報があって駆け付けたら、近所の人が数人がかりで奴を止めてたよ。
『ぶっ殺してやるっ。』って声があたりに響いてね。恐ろしかったなー。」
「奥さんは？」と櫻井さん。
「玄関の隅で顔色をなくして震えてたよ。
買ってきたものは放りだされてぐちゃぐちゃになってた。
財布は俺らと一緒に取りにきて貰って、帰りも送らせた。
そのころには旦那も酔いが冷めてさ。
大人しいもんだったそうだ。
念のため、翌日も様子を見に行かせたら、旦那は例によってパチンコ。奥さんはこっそり実家に帰るとこだったって。」
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ちえさん(プロフ) - うるさん。ありがとうございます。元気を貰ってるとか言われると、本当に嬉しいです。うるさんのお話がもうすぐ終わってしまうのは、寂しいですが楽しみでもあります。頑張ってください。 (2016年2月17日 22時) (
レス) id: 788fd5506f (このIDを非表示/違反報告)
うる(プロフ) - お邪魔します。移行おめでとうございます(^^)2に気が付かず今見つけて慌てて読むしまつ...。悔しさ半分、でもバディの世界を一気読み出来る嬉しさも半分。いつも読んで沢山元気をもらってま〜す！ (2016年2月17日 22時) (レス) id: 7338df8104 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちえさん
| 作成日時：2016年2月12日 11時
