epilogue ページ8
警視庁。
薄暗い廊下の突き当たりにあるドリンクコーナーに、ひとりの男がコーヒーを飲んでいる。
「お、いたいた。翔ちゃん。今いい？」
制服を着た男が一枚の紙をひらひらさせながら、近づいてきた。
「係長。どうしました？」
そう尋ねる男の胸には赤いピンバッジが輝いている。
「んー。気になるのがいるんだよね。ほれ。」
まるで上司らしくない男は、翔と呼ばれた男の横にちょこんと座ると紙を突き出すようにする。
用紙の隅に『厳重管理』とあるが、視線で読めという上司には逆らえない。
「検挙率の上位者リスですか。
この二人・・・ぶっちぎりじゃない・・・すご・・・」
最初こそ気乗りしていなかったのだが、今は大きな目をこぼれんばかりに見開いている。
制服の男は綺麗な口元をふにゃりと緩ませる。
「気なるだろう？」
「ええ、もちろん。
異様に長い注意書きとか、病弱と天然っていうネーミングとか。」
「ちょっと調べてみてよ。」
こくこくと何度もうなづき、そりゃもちろんですと呟いている。
「忙しいとこ、悪いね。」
柔らかさの中に、ほんの少し凄みを効かせた笑みをみせ、制服の男は踵を返した。
見た目よりも喰えない男、だからこそ、この地位にいるのだけれど。
「係長。お疲れさまです！」
きびきびした声が廊下に響き、入れ替わりにやたらと顔の濃い男がやってくる。
「どうした、松本。事件か？」
「主任、すみません。姫川班から応援要請です。」
飲み干したコーヒーを投げ捨て、男たちはきびきびとした動作で部屋に戻っていく。
俺、二宮がこの三名と関わり合いを持つのは、もう少し後になる。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 498人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「嵐」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
のん(プロフ) - ちえさんさん» コメントもいただきましたもんね、こちらこそありがとうございます(｡-ω-｡) 私の文章はどうも説明臭くてなんだかな…ちえさんの言葉の擬音語というんでしょうか、物を表す音っていうんでしょうか。それがとてもお上手で羨ましい限りです… (2017年5月22日 21時) (
レス) id: 6cd725b9c2 (このIDを非表示/違反報告)
ちえさん(プロフ) - のんさん» のんさん。コメントありがとうございます！ってか、『小さな手』読んでます！わあ、嬉しいです。気分転換程度でよいので、最後まで読んで頂けると嬉しいです。 (2017年5月22日 18時) (レス) id: 7fbfbb978f (このIDを非表示/違反報告)
のん(プロフ) - おおおおもしろいって書いている今現在case１しか読めていないんですけどもｗｗああこれで暫くの楽しみが出来ました(●´ω｀●) (2017年5月22日 17時) (レス) id: 5bf65f0369 (このIDを非表示/違反報告)
ちえさん(プロフ) - 二人のサシ飲み。荒れそう…(笑)。さしずめ杉下右京と銭形警部の飲み会…？ (2016年12月10日 10時) (レス) id: 6340fc5030 (このIDを非表示/違反報告)
みーこ(プロフ) - この先、大野さんと香取署長でサシ飲みって、どうでしょう？有りますかね。(*´ω｀*) 部下思いのお父さん的香取さんと、優しくても職務に忠実、求められたことを達成する為にどうすれば良いかを形に囚われずに考える本店エリート。この二人がサシで話したらどうなるだろ (2016年12月10日 10時) (レス) id: 5ae3e13203 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ちえさん
| 作成日時：2015年12月17日 15時
