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Ren


入学式も終わって落ち着いた頃。

友達の紫耀と学校の廊下を歩いていたら真横を新幹線の速さで通り過ぎていった女。

その女が落としていったのは一枚のメモ帳だった。



「なんやこれ」

「さっきの子が落としたんやないの?」

そんなん見たらわかるわ、あほ。

「開けていいかな」

「廉への告白のためにわざと落とした紙かもよ?」

「なわけある_______なにこれ」

見せて?と横からぬっと顔を出してきた紫耀。

「ちょお!髪の毛くすぐったいねん、ハゲにせえやハゲ」

「俺は髪の毛茶色でおりたいから嫌やの〜」

まあ、紫耀が別にどんな髪型でもええねんけど。

「それにしても不吉なメモ帳やなー」


悪口ばっか書いてあるそのメモ帳はぐっちゃぐちゃに丸められていて、泣いたのか一点だけ濡れた後があった。

「今どきこんな昭和なことする子おんねんな」

「今はLINEで言うもんちゃうんか」

さあな、と一言返してこの落とし主を思い浮かべてみた。

「どんな子なんやろ」

「ストレートロングの後ろ一つでまとめた子やったよな〜」

「そうなん、紙に気取られて見てへんかったわ」

返そうかな。けど返したらあの子悲しむんちゃうか。けど返さんかったらどこで落としたか探すんちゃうか?

「紫耀、どうしたらいいと思う?」

「俺知りませ〜ん」

なんやねん!

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作者名:いもむし | 作成日時:2016年8月15日 16時

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