寝ても覚めても。 (ページ15)

今日:2 hit、昨日:4 hit、合計:27,614 hit

変わらぬ優しさ３ページ15

yoko,side

安「おまたせ～」

横「おっ、ありがとう」

そう言ってお粥の入った器を
受け取ろうと手を出すが、
ヤスは渡そうとしない。

横「ヤス？」

安「病人はじっとしてて！
食べさせたるわっ(笑」

横「はっ！？」

安「ええから、ええから。
はい！」

どこか楽しそうにして
ヤスはお粥の入ったスプーンを
俺の口へと差し出す。

横「えっ...ええよ、
一人で食えるって！」

いくら何でも
そんな恥ずかしいこと出来へん。

安「ほら、冷めてしまうやん！」

ヤスは俺を見つめた。
その顔はやっぱり楽しんでる。

ここで断ってみろ、
ヤスが悲しい顔するだけや。

せっかく言ってくれてるんや。
これはチャンス...。

横「...あーん」

安「どう？美味しい？」

横「う、うまい..」

やばい、今俺の顔、絶対赤い。

安「ふふ、よかった」

と、ヤスは微笑んで...

安「...ごめん」

と、少し目線を下げ、
顔をしかめた。

横「ど、どうしたん？」

訳もわからず、
俺は聞くことしか出来ない。

安「僕の...僕のせいやね」

横「何言うてるん？」

安「だって...
僕があのとき迷わんかったら、
横ちょもみんなも、
雨に濡れることなんてなかったのに」

なんで自分を責めるん？
ヤスは何にも悪くなんかないんや。

横「ヤスは...なんも悪くない。
誰も悪くなんかない、そうやろ？」

安「...う、ん」

横「一人で罪被らんでもええんや」

安「うん」

横「...よしっ、まだお腹すいてるなぁ。
ヤス、おかわりっ」

安「...持ってくるね」

ヤスはもっと
俺を頼ってくれてもいい。

だって、俺は...
ヤスを騙してるようなもんやから。

俺の方が罪を持っているから。