冴えない女は蜜の味6 FINAL《JM》

255　追いかけてきて ページ5

.


A「何でまだ関わりがあるのか、言い訳して欲しかった」
JM「嘘は…あった、でもAの…為、僕達の為にって思った」



ジミンの言葉は、

いつか私がジミンに恋しているのに、屋上での事をジョングクに言い訳した時と同じだった。



ジミンに会っていたのは、全部ジョングクの為。
ジョングクにつく嘘は私達の為。
初めは私も、そう思ってた。



思わないと、ジミンに会えないから。



A「私の為に…会ったって？」



俺の為に会ったって？
私はあの日のジョングクと同じ事、言ってる。


JM「言っても仕方ないけど、事情があった。でも会ってない。信じないよね」



あの時ジョングクに、何て言われたっけ。ああ、よく言えるね…って、言われたんだった。



残業した夜、ジミンから女の子の香りがしてダラしなくて最低って私、思ったのに。

あの日の香りは、ジミンがあの子と過ごした時間のもので。そう思うとやっぱり苦しくて…




だから事情を、話して…

全部過去だって、思わせてよ…



A「いらない…浮気でも嘘でも何でも、私の為だって嬉しくなるから、傷ついていいって自分がどんどん…惨めになるから、いらない！」

JM「いらないって…」

A「事情って？ちゃんと言ってくれなきゃ、一緒に居られないよ！」

JM「会って…ない」
A「そうじゃなくて！！ちゃんと言って」



JM「僕が全部言っても。どっちにしろ一緒になんか居られないって思うよ…」








何それ…







A「そんな答え、酷い…」
JM「Aがいらないなら、僕も、いらない」



歩道橋から投げ捨てようとする紙袋を、とっさに掴んだ。

まるでジミンに使い捨てられる自分みたいに思えたから。


最初から、こうなるってわかってたのに


A「なんで、なんで投げるの！」
JM「いらないんだよね？」

A「そういう所、そういう性格が」
JM「なおせって？なおらない、これが僕なの！」


A「嫌いだった…ジミンのそういう所！」
JM「好きだったの間違いじゃない？そっちがこういう僕に惚れたんでしょ？」


A「そうだね…そういうジミンを好きになって傷つくのもわかってて、それが全部…間違ってたね」







ジミンと過ごした日の中で、一番寒い日だった。



歩道橋を降りる私を追いかけてくる…
そんなの、願わない。期待しない。


だって来てくれたら、振り向いたら、
ジミンの瞳に何度でも堕ちるから。


期待すると何度でも…傷つくから。



.

256　ヒョンは､(JM)→←254　僕の胸のなかの

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す