冴えない女は蜜の味6 FINAL《JM》

285　俺が雲です(JK) ページ35

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深めにかぶったハット帽のつばの隙間からヒョンを見る。




JK「いつものとこ、行きますか？」
TH「だね。」



JK「晴れて良かった、」
TH「いつも雨が降るからね」




JK「ヒョンもそう思ってました？」
TH「ジミンと…Aちゃん、僕達が絡むと雲は不機嫌になる」




JK「俺が、雲ですから。」




TH「そうなの？じゃあ今日は…上機嫌だ。」




春の空がぽかぽか笑ってる。




JK「テヒョンィヒョン。」



丸い棒付きキャンディーを咥えたヒョンが振り返る



JK「ありがとうございます。」
TH「何が？。ヒヒ。良かったんだよね？これで。」



ハットの中を覗き込んできた。



JK「俺はヌナに幸せを運ぶんです。」



いつだって。
一番ヌナが欲しいものを。



TH「わああ。かっこいい。幸せなヌナだっ」



それが俺の生きる意味だから。






TH「あ、そうだ、こっちを通って、覗いてかない？」
JK「あの二人を？」
TH「うん！！」



JK「やです。」



TH「なんでっ。僕、一目でもジミンを見たいの。」
JK「すぐに会えますよ。」
TH「お願い！ほんとにほんとにジミンが実在するのか見てみたいの！」




実在はするでしょ。
アイドルじゃないんだから…




TH「一目みたら、満たされるから！！」



お願い！と手を合わす



JK「バレないように、出来ます？」
TH「出来る！オーラ消せる。ほら。」



猫背で早歩きしてみせるけど
整った顔は丸見えだ。




JK「いや誰よりも目立ってますよ、ふふ」





俺はこれまでも、
何回も何万回もヌナに愛を運び続けた。



欲しいものは俺が、一番よく知ってるから。



ヌナ、今日俺が運んだプレゼントは
今までで一番、嬉しいよね？



ヌナの笑顔に似た暖かくて優しい太陽が俺を包む。




JK「覗きに行っちゃいますか。」
TH「嘘っ、ほんとに！？」


JK「ちょうど前、通るし？」



キャンディーをちゅぽっと出して、
棒を掴みながらハニカむ。




TH「ジョングガァ〜！可愛い奴！！」




肩を組んで笑うヒョンのキレイな横顔に
ちょっと照れながら、ふふっと頬が緩む。







JK「ジミニヒョンとヌナ、反発し合って全然上手くいってなかったりして…」

TH「あり得るから怖い。」





いいよ？それでも。

ヌナはずっと、俺だけのヌナなんだから。





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