冴えない女は蜜の味6 FINAL《JM》

281　三度目の春(TH) ページ31

.


僕は一年間、
ジミンとユンギヒョンが残した仕事をしながら、空いた２つの空席を眺めては、ため息をついた。




それから半年くらいすぎた頃
ヒョンの席には新入社員君が座った。



ジミンの席は空いたままだった。



二年目にはAちゃんの隣の子は居なくなって、僕は新しいプロジェクトに取り掛かった。

結構大変で毎日が台風に吹き飛ばされてるみたいに過ぎた。





その次の秋。

会議でLA支社のナムジュン先輩がリモートを使って
本社に向けてかっこいいスピーチをした。


そのスピーチでジミンとユンギヒョンのプロジェクトが、大成功を納めたと知らされる。


僕のプロジェクトの成功も伝えられ
僕達の会社は、数年間で世界でもトップクラスにまで成長した。





ジミンが居なくなって三度目の冬が過ぎて
暖かさが広がる春が、やってきた。




とにかく長かった。それはそれは長かった。
いや。…あっという間だったかな？




卒業の時に使うアレだ。



長かったようで短い三年間。

そう、まさにこれ！！




TH「着いたっ！？」









JM「着いた、タクシー乗ったから荷物置いたら向かうよ」
TH「わあああ、ほんとに、韓国にいる？」
JM「ほんとに居るよ」




TH「ほんとにほんとにほんと？」




ほんと！？




JM「間違えて中国に来たかも」
TH「ひひっ、おかえりジミナァ！！」
JM「ただいま、テヒョンァ」




騒ぐ胸が抑えられない。

ほんとにほんとに、帰ってきたんだ！




TH「早く会いたいよ！！」
JM「会えるよ、荷物置いたら、一時間後くらいには」






ジミンがユンギヒョンより一足早く帰ってくるって聞いた時は興奮して、うわー！！！って叫びながら走り出したい気分だった。




我慢したけど。大人だからね？





JM「ねぇ、どこに行けばいい？」
TH「あー地図送るね、会社の近くだよ」


JM「了解」


TH「あ！！ジミン、」
JM「なに」


TH「歯磨き、した？」
JM「…してない」


TH「げ。汚…」
JM「したよ！したけど、」


TH「何時間飛行機乗ってた！？」
JM「…12時間？」



TH「もう一回して？…約束だからね！！」






なんだかんだ言いながら電話を切って、歩く。

幸せで幸せで胸がいっぱい、破裂しそう。






早く会いたい。
ジミンに会いたくて仕方ない。









…あ。いた。




TH「もう着いてたんだ。」


深くかぶったハット帽の中の目を覗く。


TH「どうする、いつものとこ、行く？」




.

282　履けなかった靴→←280　出会い別れ成長

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す