冴えない女は蜜の味6 FINAL《JM》

279　新しい僕の世界 ページ29

.




アラームの音が、海の波の音に重なる。



「行かないで。」



ごめんねA…行かなきゃ

腕をあげて、枕の近くにあるはずの携帯を探る。




うるさい…

LAの朝は今日も変わらず、僕を迎える。



JM「……何でタートルネックなの。夢ぐらい…指輪も外せって」




携帯を握りしめて…
ぼんやりした目で時間を確認する…



え！？

9時？えっ、ちこく…遅刻！！


違う、今日は休日だ。
アラームじゃない、電話、




JM「ヨボセヨ…」
「helloでしょ？」

JM「慣れません、ヒョンと話すとつい…」
「寝てた？」






こっちに来てから僕の上司でテヒョンに話した人。

上司って言うよりは…頼れるお兄ちゃん。そんな感じ。





JM「ナムジュニヒョン…休日ですよ…」


NJ「休日だから満喫しなきゃいけない。どっか行く予定は？」
JM「土地勘もなく、友達もいません」
NJ「ははっ。知ってる」



キム・ナムジュン。
ひとつ年上でユンギヒョンよりは年下だ。

背が高くてルックスはモデルそのもの、頭が良くて完璧。

意外と天然な所が欠点…いや、愛嬌でもある。





JM「とにかく今日は休日です。」
NJ「どっか行こう。いいお店も紹介できる」


今から？


JM「今、起きたところです…」
NJ「おはよう。」
JM「おはようございます。」




NJ「何時がいい？合わせるよ」




う〜ん…

夢の余韻に浸りたいんだけど。




JM「すぐに用意します。」
NJ「オッケー」



余韻に浸ると、せっかくの休日がマイナスな方向に動く気がして切り替える。

電話を切って、支度をするためベッドを抜け出した。






あんな夢をこれから何度も見るのかな？
まだ半年…もう半年だよ。


今まで別れを経験したことも確かにあるけど
僕って情が薄くて、未練なんて全然残らないタイプだと思ってたから…

未練がましくて自分が嫌になる。


いっそテヒョンが別れ際に言ってたみたいに金髪美女と楽しい時間を過ごしてしまおうか。








…無理だな。


これから沢山の時間、ナムジュニヒョンと一緒に過ごすわけだから…多分それとは無縁だと思った。



急いで服を着替える。




JM「ヒョン、用意できました」
NJ「はやっ、もう？」

JM「急ぎました、待たせたくなかったから」
NJ「ジミナは優しくて、けなげだね。」



いや、そんな風に言われた事ないけど。
ヒョンといると、なんだか穏やかな気持ちになる。





僕にとって新しいヒョンはそんな存在。






.

280　出会い別れ成長→←278　夜の海で…(JM)

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す