冴えない女は蜜の味6 FINAL《JM》

276　夢の続き、(TH) ページ26

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時計を見て、席を立つ。

総務部を急いで突き抜ける僕を皆が振り返って驚くけど、ニッコリ笑って愛嬌を振り撒く。





TH「Aちゃ……ああ、チョンAさん。ちょっと」
A「はい……？」

TH「ちょっと、資料を見てほしくて」




そう言ってAちゃんを呼び出す




A「あのっ…ちょっ、キムテヒョンシ…」
TH「行こう」


僕はその小さな手を握って
屋上の階段目掛けて走った





A「テヒョン！」
TH「黙ってついてきて！」



階段を駆け上がって、重い扉を開くと
眩しい冬の空と、痛いくらい寒い風が僕達を包む




息をきらせるAちゃん。





TH「時間だよ…」
A「時間…？」





TH「ジミンの…お見送り！」
A「お見送り…ってここからじゃ」
TH「見えるよ！」


そう言ってAちゃんの手を離して
屋上のはしっこまで歩いた。





寒いっ！！
風で髪がぐちゃぐちゃになっちゃう。





振り向くとAちゃんは
ゆっくり歩いてベンチに腰掛けた。



A「…テヒョン、飛行機なんて見える訳ないよ」

TH「心の目でみて。」
A「心の目…」





ああ違った、ジミンは脳ミソの中に
目があるんだったかな…？




空を見上げる。




TH「ジミンも、見てるよ。」
A「……」




TH「きっと、見てる。僕達が居る屋上。」




沢山の思い出をひとつひとつ噛み締める。


きっとAちゃんも同じで

ジミンも、同じだ。







　“テヒョン……。LAって遠い？”

　すっごく…遠いよ。




　“でもどこにいても、僕のチングだよね”

　最高の、チングだよ






A「夢…みたいに思えるの。ジミンと居た時間が」

TH「夢？」


　







A「それくらい幸せで、儚くて」

TH「夢はまだ終わってないよ？ジミンは夢を叶えて帰ってくる。」

A「終わったよ…」



振り向いたAちゃんは
涙を流してた。


あー。

いっつも僕と居るAちゃんは
泣いてる可愛い猫ちゃんだ…






TH「泣かないで！」


これ以上Aちゃんを見ると、…駄目。


空を見上げた。



A「泣けてきちゃうよ…テヒョンが連れてくるからだよ…」



ジミンも…泣かないで。




TH「夢の続き、僕は信じてる。」





だから今を精一杯生きて。





TH「ちょっと、教えてほしい事があるんだけど。」
A「なに？」


TH「いいから、ちょっと…」






夢の続き、僕が必ず見せてあげる。






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