冴えない女は蜜の味6 FINAL《JM》

267　空に届ける(JK) ページ17

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JK「ヌナ、生まれてきてくれてありがとう。

………空の上の、ヌナの両親に感謝します。」















俺の両親の命は、確かにその日
奪われたのかもしれない。


でも誰かに奪われた訳じゃなくて
運命によって、そうなったんだと思う。








必ずこの日、ヌナの生まれたこの日に

感謝の言葉を捧げる。







見上げる空は、何度問いかけても

俺達の人生を見守るだけで、
答えなんて与えてくれない。






この沢山の人の中で、俺達に家族はいない。
誰も居ないのに、たった一人

ヌナがいるんだ。




溢れてこぼれて受け止めきれないくらい
愛を運び続ける、それが俺のね、




生きる意味だから。












むちゃくちゃにデッカイ薔薇の花束は
泣き散らかした顔をした小さなヌナには
大きすぎたよね？



玄関に横付けされたポルシェの前で
傷付いてないふりするヌナと

その傷に触れないように
うんと明るく俺は、笑いかける。






JK「お誕生日、おめでとう。」

A「ありがとう…」

JK「どこへも、行かせない。」




A「行かないよ？」

JK「そう言うって、わかってた。」



もっと大きな声で、言ってほしい。




JK「ずっと、二人でいよう？」

A「……当たり前だよ」





ヌナはゆっくり歩いて俺の体に、
そっと寄りかかった。





JK「ヌナ…見られてるよ？」

A「いいよ…」




JK「本当に、いいの？俺も、抱き締めるよ」

A「抱き締めて…」





薔薇の花束ごと抱き締めた
柔らかくて小さいヌナ。






その向こうに立つ、黒いスーツ姿。
一歩、二歩…



俺達に近づいて、立ち止まる








JK「じゃあ、ちゃんと。見てもらおっか。」








ヌナを強く、抱き締めた。






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