冴えない女は蜜の味6 FINAL《JM》

266　センイルだ(TH) ページ16

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随分長く感じた。
Aちゃんに、ヒートアップしちゃって声を張り上げてしまった事がグルグル頭をまわる。


Aちゃんに言われた通り、
どうして僕はこんなにずっと黙っていたのか、今になって凄く後悔した。



仕事なんて全く手につかなくて、自販機でコーラを買って窓際に立つ。


シュワシュワを喉に流しながら窓の下を見ると
丁度ポルシェがいつも通り止まった。



下に降りて、今のこの状況をジョングガに話にいこうかなんて考えたけど、ユンギヒョンは何食わぬ顔でデスクに向かっているんだから、出来そうにない。





コーラをもう一度ゴクりと飲んで、玄関を見下ろしていると

目に飛び込んできたその姿にコーラを吹き出しそうになった。




ぶっ！！




ジョングクがとんでもなくデッカイ花束を抱えて
ポルシェの前に立つ。




まっ、えっ？

プロポーズ！？



なわけない。


あっ！



独りであたふたしていると、廊下から営業部に帰ってきたジミンの姿が目に入る。





TH「ジミ…！」


ジミンは片手を上げた。


TH「こっちこっち！」


僕の手招きに、ジミンは乗り気ではなさそうな感じでこっちに向かってきた。



どうだった？Aちゃんは？
沢山聞きたいけど、




TH「…今日、誕生日なの？」

JM「……えっ？」



TH「Aちゃん。そうじゃない？」

JM「……」



TH「……ジミン、何してるの？行って」

JM「いや、もう、いいから」
TH「何がもういいの？」





TH「まだ、間に合う。早く追いかけて！」
JM「もう、行かない。」
TH「なんで？」
JM「もういい、」
TH「良くない！追いかけてってば！！」



勢いよくジミンの腕を引いた





TH「最後までやりきるのが、パクジミンでしょ？」

JM「………」



そう言ったら、駆け出した。




TH「ジミン！！フラれたら、励ますから！」




夢中で走り去るジミンを眺めて


どっちに転んでも二人をもう眺められない事に切なくなる。




ここで僕達、なんだかんだって言いながら
玄関口にとまるポルシェを眺めたり

驚いたり、笑ったり、泣いたり、怒らせたり。


女の子に愛想振りまいたり、

Aちゃんを想ったり
Aちゃんを想ってないフリしたり


僕は毎朝二人で飲むメニューを巡らせて、
今日は珈琲にしよう。だとかコーラにしよう、だとか


昨日どうだったの？とか

今日は元気だな…とか





TH「おめでとう、Aちゃん。ごめんね。」






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