冴えない女は蜜の味 4《JM》

196　友情も、恋愛も ページ46

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TH「あの三人の現実と同じくらい、ジミンと僕と、この会社で過ごすヒョンとか皆、ちゃんとAちゃんの世界で生きてるよ。全部、夢じゃないよ。」


優しい声が胸につっかえる。


JM「テヒョンにはげまされると、嬉しくない。みじめになるだけだから、辞めてくんない？」


顔だけテヒョンに向ける。


TH「ジョングク君もジミンみたいに、自分だけ別の世界だって思って、辛くなってると思うなぁ。ジミンを苦しめてるのはジョングク君じゃなくて、ジミンの心だよ。」




テヒョンはいつも僕の味方だった。
だけど、誰の味方だってする。全てにフラットで心に、にごりがない。


TH「Aちゃんは自分でジョングク君のモノって言ってたし、ジミンは自分のモノにしたいんだろうけど」



テヒョンの、鋭いのに儚い目が僕の目を見つめる。



それはいつも不純物が一切ない水みたいに、綺麗だ。





TH「誰のモノでも、無いよね。AちゃんはAちゃんだもん。独り。皆誰もが独りなんだよ。独りだから、絆が必要なんだよ。」



僕にはないテヒョンらしさが、優しく僕の心に何かを運ぶ。





テヒョンって、言葉は上手くないのに、とっても素直で。気付きだとか、価値観の違いだとか、人の暖かさだとか、そんな色んな事を感じ、考えさせてくれる。





どうしてなんだろうね、

どうでもいい人には簡単に、ありがとうも、好きも、言えてしまうのに、簡単に体に触れる事すら出来るのに、

本当にかけがえない程大切だと思うと、簡単には何も言えなくなる。言葉に詰まって、返事が出来なくなる。

　

友情も恋愛も、僕には向いてないのかな。






TH「皆でAちゃんを守ってあげたいな。Aちゃんの大切なもの全部を……守りたいよね？」








Aの大切なものは、ジョングク。

僕に、ジョングクを含めたAの全てを守れって事なの？それくらいの覚悟をしろって事なの？




何。その平和主義。僕に出来るわけ、無いんだけど。


Aとジョングクを見守るなんて…。




第一僕はもうここから、居なくなるんだから。

そんな事を考える事すら無意味に思える。



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