152 もう錯覚しない ページ2
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YG「まあ…暫く頭冷やすわ、帰るな」
そう言ってヒョンは立ち上がった。もう、0時をまわっていたと思う。
俺はヌナを残して、マンションの下までヒョンを見送りに降りた。
YG「その、ペアリング、意味は?」
前を歩くヒョンは振り向きもしないで俺に問う。
意味は……色々あったけど。
JK「俺達が繋がってる証です」
YG「お前の本当の気持ちを聞いてんだよ」
JK「……」
YG「好きなら、ヌナじゃない方が良いだろ」
JK「ヌナです。」
YG「いいの?…お前それで」
ヒョンは振り向いて、俺に向かい合わせ、立ち止まる。
JK「意味わかりませんけど。大好きな、大切な、ヌナですよ。…姉弟愛は永遠ですよね?」
ユンギヒョンの目を見ると、やっぱり今日も真顔なのに、目が優しく笑っているみたいだった。
YG「やっぱお前、やべー奴」
JK「ヒョン…」
一歩近づいて、ヒョンを強く見つめた。
YG「んー?」
俺に背中を向けて、また歩きだすヒョン。
JK「ヌナが…」
YG「お前の大切なもんは…俺にとっても大切にしなきゃいけないもんだからな」
JK「……」
YG「なあ。あいつの人生を、Aの人生に重ねて束縛すんのは、間違ってるか?」
JK「………」
YG「お前もヌナだと思うなら、自由にさせてやれ」
駅まで歩くと言ったヒョンを見送って、なんとなく部屋に戻れなかった俺はマンションの下で、夜空を見上げた。
本当のヌナが失踪した時…
暫く会社には失踪したことは伏せて体調不良で休養している事にしていた。
ヒョンはその時LA支社にいて、どんどん仕事一色になって…とても遠い人に思えて…。
そこに忍び込むように、彼女は、俺のヌナになって、会社に出勤するようになった。
目立たないように。誰の目にも、とまらないように。
なりすましたと言うよりは…なりきった、が正しい。
俺のヌナとして、生きる事を選んだ。
悲しみと絶望で止まっていた俺達の灰色の時間は、とても、鮮やかな色に変えて動き出した。
神様がくれた、ヌナという、宝物。
ヌナは言ってた、俺がヌナという居場所を与えてくれた、って。
でも、そうじゃないよ。
俺達二人に神様が、同じ居場所を、与えてくれた
俺達の生活は幸福の水を注いだみたいに、潤って、幸せが溢れていった。
誰の目にも入る事のないヌナを、俺だけのものに出来たと、俺は錯覚した。
でも、もう錯覚しないよ。
だってどう転んだって、俺とヌナは、永遠だから。
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王様じゃんぷ(プロフ) - ぐうさん» 仕事の合間に聞いて泣いてみます💮5章も今から話が動くんで楽しんで下さいませ🌟また話しかけて下さい! (2022年11月2日 7時) (レス) id: 708020874a (このIDを非表示/違反報告)
ぐう - このお話すごい大好きです(՞ . .՞)♡このお話がすごい"paid paipar"の曲の歌詞がジミンとヒロインにマッチしていて泣けてきました笑 (2022年11月1日 22時) (レス) @page46 id: afc8ed882c (このIDを非表示/違反報告)
王様じゃんぷ(プロフ) - nnonnoさん» 嬉しくてスクショしました😭笑。モチベが落ちてたので本当に嬉しい🌈また来て下さい😭 (2022年10月27日 22時) (レス) id: 708020874a (このIDを非表示/違反報告)
nnonno(プロフ) - まるで映画を観てるような気持ちで読んでいます。作者様の表現力、言葉のチョイスすべて最高です。伏線の張り方も回収もプロですね!本当に読み応えのある作品でグクと主人公の奥深すぎる愛にも号泣しています。みんな幸せになって欲しい!更新楽しみにしています (2022年10月27日 9時) (レス) @page50 id: 498383e375 (このIDを非表示/違反報告)
王様じゃんぷ(プロフ) - 7neanooonさん» お疲れ様です😌💓5章で待ってまする🌈 (2022年10月17日 7時) (レス) id: 708020874a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:王様じゃんぷ | 作成日時:2022年9月1日 16時