159 ねぇ、どうして ページ9
.
ードサドサ、バタンー
A「ひやっ…イタ……」
さっさとこの場をあとにしたくて、ファイルを抱えて歩き出す僕を呼び止めるみたいに大きな物音が響く。
…………。
ガサガサと物音が聞こえて、雪崩れの様に降って落ちた資料にまみれているであろう姿が、目に浮かぶ。
書類棚の下の1センチもない隙間から、僕の足元にまで散らばった紙が一枚。
A「イタタ……」
小さく小さく独り言の様に痛がる棚の向こう側に、堪らなく苛立つ。
もう、顔を合わせたく、ないのに。
……はあ。
行かなきゃいけない？
言わなきゃ、いけない？
初めてAと話した、あの日と同じ。
…………言いたくないんだけど。
だけどあの日とは違う。あの日より、もっともっと鬱陶しくて、煩わしくて
本当に、…勘弁してほしい。
僕は書類棚の角まで歩いて、息を吸い込んだ。
僕らしく、ファイルを脇に挟んで、姿勢を正し髪をかきあげる。
冴えない同期の女が、どんくさく頭から書類をかぶって、雪のように積もったそれに埋もれているから、助けてあげるだけ。
そう、それだけの事。
JM「なにしてるの。……大丈夫？」
……はあ。言っちゃったし、会ってしまった。
A「は、わっ、ジミ……」
思わず駆け寄って、Aの口をふさぐ。
耳元に近づいて、うんと小さな声で話す。
JM「大きな声ださないで？」
目をパチクリさせて、僕を見るAは、僕に口をふさがれたまま、小刻みに数回頷いた。
瞳にしっかりと映る目の前のその姿を、改めて見つめて、僕は一瞬目を疑った。
……………。
Aの口から急いで手を離し、視線をそらした。
そのまましゃがんで、足元いっぱいに散らかった書類を拾い集める。
急いでAもしゃがんで書類を集めだした。
ただ、拾い集めるだけ。全て集めたら、戻る。
A「ありがと…。」
気まずそうにお礼を言われる。
…僕、何やってんの。
こんな優しい奴じゃ、ないんだけど。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 2378人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
王様じゃんぷ(プロフ) - ぐうさん» 仕事の合間に聞いて泣いてみます💮5章も今から話が動くんで楽しんで下さいませ🌟また話しかけて下さい！ (2022年11月2日 7時) (
レス) id: 708020874a (このIDを非表示/違反報告)
ぐう - このお話すごい大好きです(՞ . .՞)♡このお話がすごい"paid paipar"の曲の歌詞がジミンとヒロインにマッチしていて泣けてきました笑 (2022年11月1日 22時) (レス) @page46 id: afc8ed882c (このIDを非表示/違反報告)
王様じゃんぷ(プロフ) - nnonnoさん» 嬉しくてスクショしました😭笑。ﾓﾁﾍﾞが落ちてたので本当に嬉しい🌈また来て下さい😭 (2022年10月27日 22時) (レス) id: 708020874a (このIDを非表示/違反報告)
nnonno(プロフ) - まるで映画を観てるような気持ちで読んでいます。作者様の表現力、言葉のチョイスすべて最高です。伏線の張り方も回収もプロですね！本当に読み応えのある作品でグクと主人公の奥深すぎる愛にも号泣しています。みんな幸せになって欲しい！更新楽しみにしています (2022年10月27日 9時) (レス) @page50 id: 498383e375 (このIDを非表示/違反報告)
王様じゃんぷ(プロフ) - 7neanooonさん» お疲れ様です😌💓5章で待ってまする🌈 (2022年10月17日 7時) (レス) id: 708020874a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：王様じゃんぷ
| 作成日時：2022年9月1日 16時
