冴えない女は蜜の味 4《JM》

187　知ってる事(JM) ページ37

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TH「あ、無しなんだ。ジミナの得意分野なのに」



無しだよ無し。
先にそうなっちゃったから、一番になり損ねてるくらいなんだから。


TH「ん〜、ならまずはランチに誘うとか？Aちゃんの好きな食べ物は？」
JM「知らない。」
TH「買い物は？好きなブランドとか」
JM「知らない。」
TH「映画だ、好きなジャンルは？遊園地、絶叫系は得意？」
JM「全部、知らないよ」


TH「なんにも知らないじゃん！！」
JM「なんにも知らない訳じゃない！！」
TH「じゃあ何を知ってるのー。」



めんどくさそうに、髪を手で整えながら言ってくる。



JM「……色々知ってる。ちゃんと知ってるよ…」
TH「ベッドは無しだよ〜？何を知ってるの。」




知ってる事は…沢山ある。



料理がうまい事。裁縫が得意な事。焦ると耳を触る癖。

照れると黙ってうつむく所。
ちょっと気が強い所。やりすぎると不機嫌になる所。


優しくすると、もっと優しく返してくれる所。


僕の時間を支配して甘い世界に連れて行ってくれる所。

その全部が記憶に残って、消えなくて、今思い出しながら、ふわふわしたり、チクチクしたり、僕の心を騒がしく動かす事。

家族が、居ない事。
本当は辛い過去を隠して、必死に生きてる事。
だからこそ、ジョングクを誰よりも大切にしている事…




JM「何にも知らない…かな。」
TH「ほら。やっぱり！」




知ってる事を並べたら
もっともっと知りたいって欲深くなる事は、今知ったよ。



JM「ランチに誘えばいいんだね。」
TH「ん〜まずは、ね」




今日は晴れてる。
カフェのテラスで二人向かい合わせて過ごすには、ぴったりの天候。




TH「でも、一番になれたら…辛くなるんじゃない？」

JM「なれないから。いいの。Aは僕を選ばない。だけど、離れる前に努力してみたいな〜って。もてあそばれて終わるのは僕らしくない。」



TH「ふーん。泣きながらLAに行くんだね。」
JM「スッキリ行けるはずだよ。」


多分。僕のものに、ならないって、わかってるから。


TH「やけに素直だね。やっぱ頭打った？」
JM「打ったかも。」


笑って返す。



TH「あーあ。もうすぐ居なくなるのに、僕とのランチはお預けかあ〜」


ちっとも残念そうじゃない、ニタニタした顔で言ってくる。


いつもみたいにまたフラれたら、
残りの時間を全部テヒョンと過ごすから。


機嫌の悪い僕を慰めてね、テヒョン。




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