137 俺だけ見てて ページ5
.
薄暗くて、足元だけにブルーのライトが光った廊下の死角で、イーしてみせる。キョトンと瞬きしたジョングクくんが「あるある」ってくるんとした目で眺める。
やだぁぁ。恥ずかしい…
いきなり向かってきた薬指でツンと取った。それをピッ！と私のポップコーンの中に入れて、そのままカップごと取り上げたら隣のゴミ箱にゴン、と捨てた。
少しかがんで頭をぽんぽん、したら優しく笑って
JK「取れましたっ」
とクルリと背中を向けて左にポップコーンを抱えながら右手を伸ばして「ウー…」と伸びをする。
うぅ、スパダリジョングク……
振り返ったら「行きましょ」って歩き出す。
JK「ヒョン？」
グッズコーナーのボールペンを眺めるテヒョンくんに
「今から映画みるんすよね？ポップコーン。あげる。あげといて、」ってカップを手渡す。
TH「え！いーの！？ありがと！ジョングクが歯に挟まると嫌だから食べらんなかったポップコーンって言っておく」
JK「言わなくていいっすよ」
TH「あっ。電話だ」
JK「じゃ、俺達、いくっすね」
TH「もしもーし。えっ、見えてる？ぼく？えっどこっ！？」
またね、テヒョンくん！って意味を込めて小さくバイバイしたらニコッと手を上げて笑ってくれた。
ジョングクくんがエスカレーターに向かって歩き出す。それを見上げて眺めると足がピタ‥と止まってクルリと45度進行方向を変えて「やっぱエレベーターから降りましょう」って言った。
ちょこちょこ、ついて歩く。無言でポケットにいれたヒジをつきだすから、小走りで近づいてそこを遠慮がちにギュと掴んだ。
二人で並んで歩く。
私達の背中の向こうからテヒョンくんの声が映画館の雑音の中に僅かに聞こえた。
TH「ん、うん、見てたよ、映画。うん。エスカレーターの方？あ、いた！こっちこっちぃ〜！」
エレベーターに向かう、私達。
その背中の、向こうの向こうに聞こえた声。誰の声なのかはわからない程ザワつく館内。こんな人混みの中でも、その声がわかるのはおそらく私位だろうと思った。
「なに。あの二人。びっくりなんだけど」
ズキン‥なのか、ドキン‥なのか
しゅくん‥なのか
胸の奥の深く。埃をかぶった古傷が、鳴った。
思わずヒジを掴む手を見つめて、離しそうになって、ギュ…と強く握りしめる。
JK「離しても、いっすよ」
小さく、首を振る
JK「じゃあ振り返らないで下さい。俺だけ、見てて」
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 805人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ムンバイ(プロフ) - ホソク兄さんとのやり取りをめちゃくちゃ求めてる自分が居る。 (2月24日 18時) (
レス) @page13 id: 473ae39a9f (このIDを非表示/違反報告)
(名前)まろ(プロフ) - ハヂメまして。ひっそりといつも楽しく拝見させて頂いております。変態なのに切ない、素晴らしいお話です。引き続き楽しみに拝読させて頂きます。お身体に気を付けて執筆お願いいたします。 (2月1日 21時) (レス) @page50 id: 9c3c554a02 (このIDを非表示/違反報告)
Nonno(プロフ) - あ~たまらん。もぅ遠慮なしのじょんぐくの変態っぷりが気持ち良くてランジェリーショップの店員になりたいパジャマだってホレホレこれだろ？ってやつ出してあげる！ (1月3日 12時) (レス) id: d18fc54fcc (このIDを非表示/違反報告)
ぴ(プロフ) - 可愛い2人をたのしみにしてます✌︎王様じゃんぷさま良いお年を〜✌︎ (12月27日 17時) (レス) id: 3caf547fd7 (このIDを非表示/違反報告)
キャベツ(プロフ) - JK、ド変態なんだけどやっぱりカッコイイし愛がいっぱいなのが良き✨好き✨ (12月14日 21時) (レス) id: 16a26e8c98 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：王様じゃんぷ
| 作成日時：2023年11月22日 22時
