なぜなら、僕達は。【bts】

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「大学の卒業旅行もかねて、行ってきたの。ねぇ、有名な観光地。知ってるでしょ？ここよりウンと海が大きくて、有名な島」
「へえ。聞いたことあるけど。観光地の島になんか行かなくても、生まれ育った場所があるじゃん？島じゃん」


って笑うと「なんもないし、この島は！」って笑った。




都会が、なんだ。
有名な島の旅行が、なんだ。

流行りが、なんだ。


僕はこの島が……好き。
君と過ごす変わらない夏が、好き。




何にもないけど、
ここにしか無いものが、沢山…あるよ？





君の鞄に下げられた

小さな小さな瓶に入った砂は
きっとその、有名な観光地の島での
思い出の……砂。



近くに居ても
夏が来るたび遠くなる、君。




また、夏が来たのに

「冬に、同窓会、するって？」
「そうそう。A、必ずきてね？」

次の季節を感じる風が君をさらって。


きっとすぐに夏は…終わる。




誰と行ったの？その島。って聞けなかった。




ずっとずっと昔は、いつも手を繋いで登った岩山。
いつの間にか…手を繋げなく、なった。


簡単に出来たほっぺのちゅうは
いつの間にか…届くはずがない程遠くなって


簡単に聞けた、君のこと。
今はもう、うまく聞けない。



簡単に言えた、僕の気持ち。
今はもう、うまく言葉に出来ない。




その砂…大切？
もう僕より…大切な人？

大学一緒の、流行りの髪型の、流行りのジュース飲む
都会のオトコ？


…聞けなかった。



岩山を登る。ハア、ハアと荒い息づかいが
あの頃よりも

僕より強くて、僕より少し大きかったあの頃よりも
弱くなるAを表した


「A体力、なくなった？」
「だって。こんな険しい道」
「…都会には、無いか」


手を引いてあげたかったのに
出来なかった。


「ついた…」
「ついたぁ…ハア、」


登れば、僕達の島から広がる夕暮れの、海。


「相変わらず、キレ〜…」


ずっと向こうで太陽が海の中にサヨナラすると
お星様が一面に広がる…二人だけの秘密の場所。




君は僕の隣で、僕を見上げる


「テヒョン…」
「ん…？」

「……何でもない」



首を振る君の頭に、ポン。と掌を置く。


「A…」
「ん…？」


「……ううん、何でもない」



波の音が優しい。
頭に置いた掌を…君の肩に回して、引き寄せられない僕は


手をさまよわせて…頭をワサワサッ、と掻いた。


「…この景色も、テヒョンも…相変わらずだね」
「相変わらず、ってなに」
「相変わらず。だよ」



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