なぜなら、僕達は。【bts】

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身体中が震えて、息が…苦しい

ドアを開けた途端、アルコールの臭いが部屋に充満して、吐き気がした



「なんで。今……」
「あー。あ？わりぃ、引っ越し屋さんがお仕事中に来ねーとなあ？…楽しめねえもんなあ…」




苦しさで、おかしくなりそうだ…




ヌナの体に傷はなかった
ヌナの体は、過去の傷跡以外

新しい傷なんて……なかったのに





「…酔ってますか。帰って下さい」
「…酔って、我慢できなくなっちまった」


グァハハッ、と笑った声は
あの日のまま



傷が無いヌナは
傷だらけの心を抱えて

俺を守ってた……

つもりなのかよ…




「弟が居る時は…来ない約束ですよね……それを守るって約束で…」
「わりぃ、わりぃ、わりぃ、」



気色悪いしゃっくりを繰り返して、俺を見る



「…まあ、…また明日……」そう言ってニタッと笑った顔は、


あの頃の俺に嫌悪感を抱く苛立った目では…

なかった。

むしろ俺に、優しく笑った。
勝ち誇った様に優しく、
息が出来なくなる程恐ろしく…笑った。




ガチャン……。ドアが閉まる







言葉が、声が、出せなかった。

ガタガタと崩れる俺の体を支えたヌナも
何も…言わない。



涙だけは流れて、
世界に色が消えていく…







「もう、疲れた…ユンギ……消えたいよ…」
「言うなって……それ。言うな……」





それでも二人で息を潜めて
震える体を抱きしめ合うと
ヌナを守るって誓った想いが




最後の精一杯が溢れる





「ユンギも、疲れたでしょ」
「俺は……ヌナと幸せになる」

「なれない…よ」
「なれる！なるんだよ、なれんの、俺が……幸せにするから」

「私の体は……汚いよ」
「汚くなんか……」


汚くなんか…


「ユンギと、幸せになりたかった…」
「なればいい、また一からやり直せばいい、またここ抜け出して、また」


「なれない」



…なれない。

いつから自分でも
気付いてたんだろう




「じゃあ、どうしたい」
「行こうよ」



ヌナは屋上を指差した。



「行くかよ。行かない、生きんだよ、な？」
「幸せな、家族になりたい。姉弟じゃなくて、家族に。ユンギの……幸せなお嫁さんになりたい」

「してやるよ、」
「……無理だよ」

「無理じゃねぇ！俺達は姉弟じゃない、わかんだろ？全然似てねーし、たまたまなんでかわかんねーけど捨てられた、他人だ！！」


「…そんなはずない。姉弟だよ。
でね、あれは……父親だよ…ユンギ」




違う。認めない

認めたく…




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