なぜなら、僕達は。【bts】

神様　(YG) ページ20

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「触らないで…ユンギ……さわら…ないで…」


傷だらけの体を擦りながら
ボロボロの服を必死に掴んで
泣く景色を、俺はずっと見てきた。


「ヌナ……ヌナ、大丈夫だから。大丈夫だから」










俺達は、同じ日、同じ場所
同じ白い服を着たきったねー姿で
警察に保護されたらしい。


俺は1才でヌナは2才だった。


勝手に姉弟って事にされて
勝手に施設にぶち込まれて

すぐに俺らを引き取りに来た男に
育てられた。






そいつは俺らに、父親だと言ったけど
そんなはずがなかった。

全然似てる部分がひとつもない。




何より親なら、
こんな事するはずない。





「お前のその目、お前の母親にそっくりだわ」


次の日は、俺。
毎日、日替わりで地獄は続いた。




「何だよ？いてーくせに、ガキのくせに、牙むいてんじゃねえよ……」

「痛くねーよ。ちっとも痛く…なんか、ねえんだよ！！だから、毎日俺にしろ！！！」

「ほぉ。姉ちゃん想いだなあ、お前は昔から」





姉ちゃんじゃねーよ。
姉ちゃんじゃねぇ





「お前は姉ちゃんの番が怖くて仕方ないだろぉ？だから、……順番だ」



「明日はお前」そう言ってヌナの髪を握った男が



「お前はなあ、後ろ姿。背が高くて、細くて、足が長い。髪が真っ直ぐで。後ろ姿が母親に…そっくりだ」





似てねぇよ。
似てねぇ。

俺にもヌナにも、母親なんか、いねぇんだよ…



来る日も、来る日も
同じことの繰り返しだった。







「俺に似たとこが一つもない。ふしだらな女だからなあ、お前らの母親は。誰の子だよ…なあ！！誰の子だ！」



日に日に、
俺は自分の番の痛みは、感じなくなった。
その分、ヌナの番を見る痛みは…増し続けた。



幼い震えは、成長と共に怒りに変わった。
怒りと痛みは、絶望に変わる

絶望が広がるたび、その絶望を越える
……力が湧いた。



……絶対…抜け出してやる
……絶対ヌナと、幸せに笑ってやる






お前になんか、
似るわけねぇんだよ…


俺達に
父親なんか、いない。

母親なんか、いない。
きょうだいなんか、いない。


「神様なんていない。消えたい…」ヌナは何度もそう言った。




小屋の中は、暗かった。怖かった。
でも、ヌナと抱き締め合うといつも
……ほんの少し、暖かかった。


「言うなよ…んな事！悔しいから生きんだよ。悔しいだろ？ここを…抜け出そう。いつか、抜け出せる…」


でもきつく抱き締め合うと
互いの傷がいつも痛くて仕方なかった。



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〜なぜなら運命なんて→←・fin.

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