なぜなら、僕達は。【bts】

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それから暫く。
慣れたくないのに、
君が乗り込んで来ないバスにも慣れた頃。






窓の外にみた、景色。



その日も変わらず寒くて
相変わらず隣の席に鞄を置いて


雪が舞う外をボーッと眺めた。


そこに
傘をささない君を、見つけた。







手には白い花束を持って。
その花束がお祝い用ではないとわかるから
悲しい予想は、外れてはいない様だった。





彼女が、いた。
彼女がまた、今、僕の瞳に映ってる…



きっと深い悲しみの途中の、彼女が。




慌てて、立ち上がろうとした



僕の目に映る、泣いてるはずの顔が
可愛く笑って…手を振った。




ガンッと窓についた肘がずれ落ちる…





僕に…じゃない。


その笑顔の先には
背の高い、優しい笑顔の短髪の男。






……ああ。そっか。



……何だよ、そっか。





全てが、滲む。
景色が、滲む。




君がくれたピアスをキュッと掴むと
世界にひとつの君が僕にくれたピアスが

プチン…と、ちぎれた。






もう一度、座りなおす。







いつも必ずこの席に座るようになったのは
君に覚えてもらいたくて

隣に座ってほしくて…。











うつむくと零れちゃいそうで、
バスの天井を眺める。

もう一度窓の外を見ることは、できなかった。





抱きしめてたりしちゃ、嫌じゃん？
良かった…笑ってて。って、思えなかったら

嫌じゃん？





嫌だよ。
君が笑っていて、良かったんだよ。





君は、泣いていても
入る傘があったんだから、良かった。





良かった…






潰れたピアスを、握りしめる。

「…イテテ」

金具が当たって痛かった。
指が、心が、痛かった。




隣の席の鞄を、ひざに置く。




僕の隣……君の指定席
だと思ってたのは僕だけで。




誰か座って下さいよーって

もう、自由席ですよー、って。





叫びたい、気分だ。



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