59 ...僕は、ずるい ページ9
.
かぶっと、かじる。サクサクでほくほくで美味しい。それは知ってる。けど…
「ど…？美味しい？」
私の目をしっかり捉えて、目を細める。口の隅が上がってて、期待で膨らんだ顔。
美味しいって言ったら次はどんな顔をしてくれるんだろう。きっとすっごく、ジミンを…満足させてあげられる。
「ほんとだ…。凄く美味しい…」
初めて食べたわけじゃないけど、ほんとにほんとにこんなに甘くて美味しいコロッケは、初めて食べた。そう思ったら、わざとじゃなくて本心で
「こんなに美味しいの、初めて食べたよ」
そんな言葉が口から零れる。
自分が言った言葉に、ジミンが満足気にフフって笑う。それが私を満足させる。
「でしょ？サクサクで、すっごく美味しいの」
ジミンの声は甘くてずるい。
ジミンの欲しい答えを、私なら毎日あげられるよ…。そう思ったら、辛いはずのジミンの過去に辛さより、悔しさと、嫉妬みたいな醜い気持ちが広がった。
片思いは、片思いのままにしておけば幸せなんだ。
願えば、辛くなる。欲しがれば、嫉妬する。
「じゃあさ、ジミン、あそこのミックスジュースは飲んだことある？」
「ない。美味しいの？」
「すっごくだよ！買ってあげる！」
ジミンの手を引っ張って歩く。
「そんなに急がないで、コロッケ食べらんないよ」
「だって、喉かわいたんだもん！」
「ふはは、子供みたい」
残ったコロッケをおっきな口をあけて、あむっと食べたジミンが、んー、んーって口をいっぱいにして私に引っ張られる。
「ん〜、A、待って…って」
「おばさぁん！ミックスジュース、ふたつ！」
「ふたつ？ひとつで良いよ」
「ええ！？」
「一個も、飲めない」
ええええ！？ひとつ？、ひ………
「ひとつ！？」
「ひとつ。」
「………おばさん、ミックスジュースひとつ……ストロー２本、２本で！」
意地悪に笑ってるジミンを横目にお金を出してジュースを受け取った。
「ふふ、ストローは２本なんだ」
ストローは２本だよ。笑わないで。１本のストローを共有できるくらいの距離感出して、笑わないでよ…
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 730人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あこ(プロフ) - 更新楽しみです。幸せになって欲しい💜でもジョングクくんの気持ちを思うと、とっても切ないっす。後輩グクくんのこの口調本当に好きです！ (6月24日 22時) (
レス) @page50 id: f9201ba0de (このIDを非表示/違反報告)
ミユ(プロフ) - 最高です〜🥲💓もう毎回この更新がどれほど楽しみか。 (6月24日 17時) (レス) @page46 id: 8a771334e8 (このIDを非表示/違反報告)
ジュジュ(プロフ) - 最高！最高！さいこーーー❤️甘くなってきたー❤️甘くなってきた！最高❤️また焦らされたい気持ちもあるのでもう一度読み返してきます☺️本当にありがとうございます🙏 (6月22日 22時) (レス) id: d11b49f217 (このIDを非表示/違反報告)
myco - 作者様初めまして。ドキドキとキュンキュンと幸せな時間をいただきありがとうございます♡これからも更新楽しみにしてます (6月22日 21時) (レス) @page46 id: a0d3d6e0e6 (このIDを非表示/違反報告)
BtJumina(プロフ) - なんと幸せをくれるんでしょ❤️作者様永遠に幸せです (6月22日 10時) (レス) @page45 id: 747469af63 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：王様じゃんぷ
| 作成日時：2023年6月9日 18時
