65 風邪ひくっす ページ15
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「…くん………ジョン…グ…く、うっ…うっ…」
うわーんと傘の下で、涙が滝みたいに流れる私を見てジョングクくんは、傘の外に視線を飛ばした。
「浮気されてフラれて…無理やり嘘に付き合わされた男好きんなって…またフラれたんすか」
「うっ……うっ…、浮気はされたけど…フラれてないもん!」
「ああ…」
「まだジミンにも、フラれて…ないもん……うっ、うっ…ジョングクくんの、いじわるぅ……」
うわーんとまた、滝みたいにドバドバ泣く。
メロンパンを下げた腕が、私の傘を奪って、雨水をはらいながら閉じられる。
ジョングクくんのでっかいビニール傘の下にすっぽり入って、目をゴシゴシして、顔を上げる。
「行きますよ」
「………どこに」
「帰るんです」
「………どこに」
「Aさんち」
また涙が流れる
「…うっ…このまま帰すの、話聞いてくんないの、ジミンに会ったんでしょ……なんて言ってたの、話してよ……うっ…っ……」
「風邪ひくっすから。シャワーして着替えないと。今日はさっさと寝て下さい」
歩き出すジョングクくん
「じゃあなんで居たの、うっ……ぐすっ……なんで来たの……泣いてんだから話くらい聞いてくれたって……いいじゃん…」
「たまたま居たんです」
「嘘だよ、すっごく走ってたじゃん」
「たまたま走った。今日は帰って」
「ジョングクくんって、やっぱり冷たいぃ………うっ、」
「また明日聞きますから」
「………うっ、ごめんね…ジョングクくん……」
「なんでAさんが、謝るんすか」
「せっかく寄り道させてくれたのに……パン屋さん、すっごくすっごく嬉しくて、せっかくジョングクくんが」
ぐずぐずと鼻を鳴らしながら話す。
「パン屋さんなんて、ジョングクくんだって寄れるのに、せっかく協力してくれたのに…私」
ジョングクくんは、一瞬足を止めて私を見たけど、
また何事も無かった様に歩き出す。
「……パン屋さん。っすか…」
フって笑ったジョングクくん
「……ごめん…ね…」
「……パン屋…。寄り道出来たなら、良かったじゃないですか。謝る理由わかんないっすよ」
傘の下のジョングクくんが、なんであんなに走ってたのかも、
メロンパンの袋をジミンにもらった時どんな話をしたのかも、
どうしてこの短い距離を傘の下で寄り添って、うちまで送ってくれるのかも、わからないまま、うちの前に到着する。
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あこ(プロフ) - 更新楽しみです。幸せになって欲しい💜でもジョングクくんの気持ちを思うと、とっても切ないっす。後輩グクくんのこの口調本当に好きです! (6月24日 22時) (レス) @page50 id: f9201ba0de (このIDを非表示/違反報告)
ミユ(プロフ) - 最高です〜🥲💓もう毎回この更新がどれほど楽しみか。 (6月24日 17時) (レス) @page46 id: 8a771334e8 (このIDを非表示/違反報告)
ジュジュ(プロフ) - 最高!最高!さいこーーー❤️甘くなってきたー❤️甘くなってきた!最高❤️また焦らされたい気持ちもあるのでもう一度読み返してきます☺️本当にありがとうございます🙏 (6月22日 22時) (レス) id: d11b49f217 (このIDを非表示/違反報告)
myco - 作者様初めまして。ドキドキとキュンキュンと幸せな時間をいただきありがとうございます♡これからも更新楽しみにしてます (6月22日 21時) (レス) @page46 id: a0d3d6e0e6 (このIDを非表示/違反報告)
BtJumina(プロフ) - なんと幸せをくれるんでしょ❤️作者様永遠に幸せです (6月22日 10時) (レス) @page45 id: 747469af63 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:王様じゃんぷ | 作成日時:2023年6月9日 18時