たった一週間【YG】

23 表裏。旅二日目 ページ23

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キッチンにオムライスを置いて、眺めた。


何時間待ったと思ってんだよ…



テーブルに運んで置いた時は
艶々して黄色一色で…輝いて見えたのに。


まず、山吹色で黄色じゃないし。
白身と黄身がまだらで一色じゃないし。


それにこんな
誰にでも作れる特別でもなんでもない料理が、
輝くわけがない。


極めつけは
上に乗せるケチャップが足りてねえから可愛い落書きが女の醍醐味なのに



全然、こんなの…映えねーの。




スプーンを流しに投げた。
ステンレス同士がぶつかる音が部屋に響く。





ほんと

くっだらねぇ…







キッチンを後にして部屋に入る。
ため息をつきながら座って、パソコンに触れたら
さっきよりスラスラと一曲出来上がりそうだ。







ガタン………

扉が開く音。




帰ってきた…




でももう…知らね。

黙々と作業を、進める。







コンコン………

ドアがノックされたから、すぐにでも開けたくなったけど、絶対開けたくない。

かわいさ余って憎さ百倍ってこんな気持ち？






「ねえ」

「あ？」

「帰ってきたんだけど」

「だから？いちいち報告いらねぇから」

「………キッチンのオムライス。なにあれ」





「……………知らね」





黙々と作業を進める。



「知らないってなによ…。開けていい？」

「無理」



黙々と作業を進める。



「オムライス作って待っててくれてたの？」

「待ってねぇ！！」




こっちは作業中。…話しかけてくんな。




「オムライス…」

「食いたきゃ勝手に食えよ」

「待ってたんでしょ？」

「待ってねえって言ってんだろ？腹減ったから作っただけだよ。お前の分は…ミン一族のよしみだ」



ガチャリとドアが開けられる



「お腹すいて作ったなら、なんで？なんで食べてないの。自分の分」

「気分じゃなくなった。勝手に開けるな」





振り向かずに言ったら
ため息の返事が返ってきた。


背中に目が無いから見えないけど


多分
呆れた…って顔してんだろうな。





ドアが閉められた。




「適当に荷物まとめたら、行くから。さよなら」

「おう」

「お見送りはいい、仕事してて」

「吹雪だぞ」

「了解」




了解って…なんだよ了解って。
こんな猛烈な吹雪でどこだか知らねーホテルまで歩く気なのかよ。





「真っ暗だぞ！」




振り向いて声を張り上げたけど
返事がない。







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