たった一週間【YG】

16 距離。旅二日目 ページ16

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座って背筋を伸ばして、見ようとするけど
見えるはずがなくて


「どれ？この卵のか？」

「そう。卵の」


これな


「自信作。この調味料使ったの！」


キッチンからご機嫌そうに見せてくるけど
やっぱりそれも、見えづらい…



「その隣は？これも、うまそうだな」

「隣って？どっちの」

「右側の…」




話しづらい！！！！
遠い！！！




「離れ過ぎてて会話、めんどくさいわ」

「ならやめよ。黙って食べて」



そうじゃなくて。



「立って食べられると落ち着かねぇし」

「隣の部屋から椅子持ってこようかな」



そうじゃなくて。



「あの椅子とじゃサイズ感合わないだろ」

「あなたが隣の部屋で食べれば？私その机で食べるから」

「俺を動かすな。言ったはず、お前が動け」

「じゃ、隣の部屋いくわ」



そうじゃなくて！！！



「待てって！！」

「なに？私との会話、めんどくさいんでしょ？ここに立ってると鬱陶しいんでしょ？」



そうでもない！！違う。全部違う



「そんな事言ってねぇし」

「…言ったよ？」




………言っ…た。




「言ったけど、違う。」

「違うって？」

「そうじゃなくて、だから」

「だから？」

「……こっちで食えば。ってこと」



皿を引き寄せて
スペースを作る。

向かい合って食うのが一番。一番、話しやすい。



「……隣で？」



隣！？……まあ、向かいでも隣でも…いいけど
ちょっとズレて隣にもスペースを作る。





「入ってこいよ。…話しづれぇから」

「一緒に食べるの？」

「お前が作ったんだろ、その為に」

「その為じゃないけど？一人で食べるのは気が引けるから。ミン一族のよしみよ」



そう言って、隣にせっせこ料理を移動する。
気にせずパクパク食べながら横目に顔色を伺うとご機嫌そうだ。



一緒に食べよって、素直に言えよ。




「ねえ。一緒に食べたいって素直に言えば？」

「そっちだろ。作ったくせに」

「何度も言わせないで。ミン一族のよしみ」

「何度も言わせるな、話しづらいからだ」









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