冷たい手 ページ45
.
窓から射す光が心地よくて、うっすらと目を開けると真っ白な天井と点滴が目に入る。
此処は……
左手に目をやると点滴に繋がれた自分の腕、隣のテレビ台には私の荷物と携帯が置かれていた。
看護師｢目を覚ましましたか〜おはよう藤崎さん。気分、悪くない？｣
｢あ…はい…｣
看護師さんは点滴を確認して、体温を計るよう言ってくる。
気分は悪くない。むしろ良いくらい。
久々にこんなに深くぐっすり眠った気がする。
｢熱も下がったねー、先生がすぐ来ますからね。何かあったらこれ、押してね｣
広くも狭くもない個室から看護師さんが去っていく。
隣にあるベッドのリクライニングボタンを押しゆっくり上半身を起こしてみる。
ベッドがグィーと鈍い音を立てて上がっていく。
仕事！！
ハッとする。携帯！！携帯に手を伸ばすと体がまだ重くって自分の腕じゃないみたい。
携帯をスライドさせパスコードを押すと小太郎から“喫茶店には言っといた、見たら連絡して”と連絡が入っていた。
携帯を閉じてゆっくり思い出す
私、倒れたんだな。倒れた時、酷く頭が痛くて苦しかった。
色々な人の声が聴こえていた気がする。でも一番覚えてるのは、優しくて安心する声と、冷たい手の感触。
冷たくて気持ちよくて。
トントン
｢失礼します……どう？顔色いいですね。先生きたからね｣
看護師さんに続いて女性のまだ若めの先生が入ってくる。
｢失礼します、どう、痛みとかありますか｣
先生は気さくで凄く安心できた。先生いわく疲労と夏風邪で倒れたらしい。
少し貧血もあったみたいだけど、詳しい検査結果はまた後日解るらしく、このまま夕方には自宅に帰っていいとの事だった。
先生が、優しく笑いながら彼氏さん、凄く心配してたけど、とても早く対応してくれて‥と言ってたけど、小太郎のことだな。
きっと倒れた時も、救急車でも、病院でも、小太郎がついていてくれたんだろう。冷たい手が優しくて安心した。
親にも小太郎にも連絡しなきゃ。
診察が終わり目を瞑りもう一度頭を整理する。
あそこで倒れたんだな私。救急車が来たんだ……深夜のリンクに……やばいじゃん。
絶対羽生君に迷惑をかけた。ってか今まさに騒ぎになってるんじゃ…
何してんだ私。ほんと、情けなくて泣けるわ。
薬のせいか点滴のせいか、気づけばまた眠ってしまった。
.
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 62人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
王様じゃんぷ(プロフ) - だんごさん» ありがとうございます(ToT)自己満足100％で楽しく書いたので、楽しいって言って貰えて嬉しいです。感謝:) (2021年10月21日 10時) (
レス) id: 8d4c9c3192 (このIDを非表示/違反報告)
だんご(プロフ) - いつも楽しく読ませて頂いてます。これからの展開どうなるのんかぁー?更新待ってます! (2021年10月20日 14時) (レス) @page41 id: 69db7dc37a (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：王様じゃんぷ | 作成日時：2021年5月7日 22時
