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「みい!みい!」
小太郎の声だ。いつもいるスタッフさんや関係者さんの慌ただしい声が響き渡る
「こんな時は動かしちゃだめよ!」
「凄い熱いよ!救急車、救急車早く」
……考えるより先に声の方へ走る
俺がみいと話すときに座っていたいつもの場所に人が何人か集まっていて、よく見えない。
間を割って入る。
目の前で小太郎が膝をつき、寝転がったみいの頭を抱き抱えていた
みいの唇は青ざめていて、額には大量の汗、小太郎が頬を触って呼び掛けると微かに目があいたり、閉じたりしている。
警備員さんが焦って意味のない動きを繰り返してる。
「はよ救急車こんか‥救急車呼んだから!しっかりせぇ!……羽生くん騒がしいくてごめんなあ、気にかけんと帰って!」
「いつ倒れたんだよ、みい調子悪いなら言えよ……!!返事してくれよ……!」
凄まじくパニックになっている二人を見てとりあえず救急車を呼んだなら待つしかないと理解する。
しなきゃいけない事を瞬時に考えるのは得意だ!
『俺ここに居ますんで、警備員さん外に!救急隊員の誘導をしてください、裏口あけて!!』
「んだな!ん!」
「みい……みい、わかる?」
『ねぇ!みいの荷物まとめて!貴重品とか携帯とか!俺ここについてるから!』
小太郎は俺の存在にその時まで気付いてもなかった様子でハッとしている。
みいの頭をゆっくり降ろして俺の指示通りにみいの荷物をまとめに走っていく。
とっさに偉そうに指示したものの、足が固まってうまく歩けない
ゆっくりみいの隣にひざまづく……
苦しそうに目を瞑り、色の無い唇を微かにあけて荒い息をしている
『みい……俺だよ……聞こえてる?心配いらない。大丈夫……』
少し震えた俺の左手でみいの手を握り、汗で濡れた前髪を、右手でとかす
瞳がうっすら開くように見えた。意識が朦朧としているのか、視線がうまく合わなくて更に怖くなる
『みい……』
抱き抱えたかったけど、頭を動かしちゃいけない気がして頬に手をあてる
すげぇ熱い……かなりの高熱だ。
握った左手が少し強く握られた気がした
「………くん」
『うん、話さなくていい。大丈夫。大丈夫だよ。』
無理矢理だけど焦らず淡々と言葉をかける。なるべく落ち着いて優しく……
ほんとは怖くてたまらない
『俺いるから。安心して。病院行こうな。』
震えた手で自分の口元をおさえる。泣くな、泣くな、泣くな俺
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王様じゃんぷ(プロフ) - だんごさん» ありがとうございます(ToT)自己満足100%で楽しく書いたので、楽しいって言って貰えて嬉しいです。感謝:) (2021年10月21日 10時) (レス) id: 8d4c9c3192 (このIDを非表示/違反報告)
だんご(プロフ) - いつも楽しく読ませて頂いてます。これからの展開どうなるのんかぁー?更新待ってます! (2021年10月20日 14時) (レス) @page41 id: 69db7dc37a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:王様じゃんぷ | 作成日時:2021年5月7日 22時