この手、この足【８】 (ページ41)

今日:3 hit、昨日:11 hit、合計:80,859 hit

錦戸side ページ41

.

渋「…ぉ…ょお…亮！」

錦「んぅ…？すばるくん？」

すばるくんに起こされたのは夜の寒さがより一層鼻をツンと刺激する夜中の3時。

なんでこんな時間に起こされたのか全く分からんけどとにかく寒い！
布団から絶対に出られるものか！

渋「ちょっときて」

錦「どこに？」

渋「ええからはよ！」

言われるがまま
何故かわからんけど渋々身体を起き上がらせる。
それだけですら身震いするほどの寒さって、やっぱ冬やな。
ほんまは起きたくなんてないのに！

車椅子に乗ろうと思って辺りを見渡してると、すばるくんは何も言わずリハビリの先生がやってくれるみたいに身体を支えてくれて、ゆっくり窓際まで歩いた。

錦「ふぅ…」

ようやく窓際についた頃には息が上がってて、それを見てすばるくんはクスクス笑ってた。

渋「体力ないなぁ」ｸｽｯ

錦「なんやねん」ｸｽｯ

どんな病気になっても、どんな後遺症が残っても、こうやってちょっといじってくるのはすばるくんだからこそのことで。
きっと相手が俺だからって言うのもあるけど。
許せてしまうのは今までいろんな面を見せてきたから。
色んな場面で助けてくれてたから。

渋「みてみ」

錦「おお！」

渋「ホワイトクリスマスやな」

錦「もう日付変わったけどな」ｸｽｯ

渋「うっさい」ﾍﾟｼｯ

外には雪が舞っていて、ほんの少し。本当にほんの少しやけど、積もっていた。

これを見せよう夜中に起こしてくるすばるくんが、ちょっと可愛くて、すごく嬉しくて、思わず笑みがこぼれた。