この手、この足【８】 (ページ26)

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渋谷said ページ26

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行き先は決めてない。
車乗って走らせてればなんか思いつくやろって投げやりな考えやけど、音楽かけて亮を助手席に座らせて走らせた。

～～♪

錦「どこいくん？」

渋「んー？うーん。
どこいこか」

錦「えっ？笑」

『決めてないん！？』って目をまん丸にして驚く亮を横目に捉えて、思わず笑ってしまう。

渋「行き先のないドライブ」

錦「なになになに笑
めっちゃええ感じに聞こえるけど普通のこと言ってる笑」

渋「ま、暇つぶしや笑」

錦「うわぁ、雑になった笑」

隣でキャッキャ楽しそうに乗ってるのを見て、こっちも嬉しくなる。
久しぶりに、場所も雰囲気も何もかも違うけど、亮の隣で歌を歌った。
亮の歌声を聞いて、俺の声にハモってきて、メンバーのところはモノマネして歌って。

気がつけば車窓の外に広がる風景は、海が広がっていた。

錦「横浜やぁ」

渋「こうやってゆっくり来るなんて久しぶりやな」

錦「やっぱ観覧車でかいなぁ」

車の中から観覧車を見上げる亮のために窓を少し開けてやる。
それと同時に冷たい風が入り込んでくる。

錦「さっぶー！！」

渋「冬やなー！」

入り込んできた風は二人の髪の毛を適当に撫でていく。
それにつられて俺らの声も心做しか大きくなって笑い声もより一層大きく数多くなる。

錦「いつかまた、全国やりたいなぁ」

渋「せやなぁ」

錦「こんなにでかくなったでー！
って皆に伝えるついでにやな」

渋「なんやねんついでって笑」

錦「おまたせ。って、伝えに行くついで」

そう言った亮の目には覚悟を決めたような、そんな目をしていた。