8人目の彼女は性別迷子② (ページ49)

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『今まで付き合った人おらんのやけど…なにを吐けばええの？』

丸「はいきたー！」

『え？』

安「付き合った人 “は” やろ？」

『……ちょ、亮ちゃんどこまで言ったん？！彼氏がおらんかったって話までやないの？！』

錦「ひゅ～～」

誤魔化すために口笛吹く亮ちゃん。

『にしきどめ…』

渋「ほんでどうなんや」

ずずいっと顔を寄せてくるすばる。

『どうって…』

渋「吐け。」

『おえっ』

大「ぉえっ」

渋「ちゃうわ！大久保はつられんな！」

大「大倉！」

渋「A、吐いた方が身のためやで」

どうしても言えない理由がわたしにはある。
(あいつに確認しな言えん。とりあえず今この状況どう乗り切るか…)

渋「ほれ、吐け」

すばるの目が問い詰めてくる。
その目を見た瞬間 “奪ってみる？” の声が脳裏に響いた。
あ、これや。そう思った瞬間、体が咄嗟に動く。

ちゅっ

渋「！」

錦「は」

村「んなっ」

安「え」

丸「きゃーっ」

横「ちょ」

大「まって！！」

誤魔化すためにちゅーするなんて、いい案がなかったにしろ我ながら卑怯な手やったな…そんなことを思いながら女優スイッチを入れる。

『奪ってみたで？』

顔を近づけて微笑むように笑うと、すばるの顔が瞬時に赤くなった。

渋「～～っ…こーさん…」

すばるは白旗を揚げる。

錦「ちょっ、ちょっと！A何しとんねん！」

『ん？何ってキ「言わんでもわかるわ！」

横が顔を赤くして突っ込む。

大「すばるくんだけずるい！なぁ、亮ちゃん！」

錦「…おん」

まさかの反応を見せる亮ちゃん。

『えー？亮ちゃんもしてほしいんー？』

にじり寄ってみると、照れたように目をこすりながら慌て始めた。

錦「いや、アレやん！してほしいってゆーか、俺からし…やなくて…！」

『亮ちゃんからしてくれるん？ええよ、ほらほら～』

大「あかん！ちょ！A！！俺がする！」

『大倉もしてくれるん？』

大「していいの？！」

『なーんて』

錦大「「へ？」」

パッと両手を挙げて降参のポーズを見せるとみんな目をぱちくりさせる。

ピーンポーン

『あ、着いたかな？はーい』

インターホンへ向かい応対すると、そこにはコソッと連絡してたタケちゃんの姿。

《Aさーん！迎えにきましたー！》

『今行くー！…と、言うことでこの話はまたいつかね』

わたしは荷物を持って立ち上がる。
鍵はポストね！それだけ言い残して部屋を後にした。