8人目の彼女は性別迷子② (ページ47)

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ヒナちゃんのゴリラのような怪力に感心しながら、背中を眺めていると、安が思い出したようなそぶりをした。

『どしたん？』

安「あ、さつきさっきマネージャーから連絡あって、ジャケット撮影やねんけど昼から雨予報やから延期するって。ほんで、夕方からクロニクルの撮影入ってたのを繰り上げるらしい…って、さつきは今回ちゃう仕事入ってたんやっけ？」

『あ、うん。そうやねん。やからわたしだけちょっと空き時間ができたってことやね！またあとでタケちゃんに聞いてみるわ！』

安「うん！もうお昼近いけど朝ごはんできてるから食べおいでー」

『ありがとお！着替えたら行くわ！』

もぞもぞとベットから降りて、クローゼット(ウォークインクローゼット)へ向かう。
歩きながら、横の言葉を思い出す。

“男でけへんぞ”

たしかに。
男の人に囲まれた生活が長かったし、性別迷子やったから余計感覚が鈍ってる気がする。

あれ、わたしって、彼氏できたことないやんな？

あれ、メンバーはちょこちょこ女の人と遊ん…やなくて付き合ってんのに。

あれ？え。なんかやばない？

まぁわたしも経験がないわけではないよ、さすがに。相手は…伏せとくけども。ちなみにメンバーには手だしてないよ！もちろん！

けど、まともに付き合ってないとかやばくない？

え。わたしいくつやねん。

……本格的にやばい気がするぞ、おい。

クローゼットの中で立ちすくむ。

『ほんまに、彼氏つくらなやばい気がしてきた…』