大倉さんと親友【緑】

彼女と彼女 ページ4

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彼女はつくづく人付き合いが上手だな、と思う。



俺と初めてあった小学校の時だって、中学だって。




今だって父親役の佐藤二朗さんととっても仲良さげに話してて、その姿は本当に親子みたい。



なんだか大好きなおもちゃを取られた感覚でAと一番仲いいのは俺やぞって思いながらその会話に割り込んでやった。






撮影が終わって、着てた割烹着を脱いで私服に腕を通す。


タイミングを見計らってマネージャーが持ってきた携帯は熱くなってしまっていて、着信履歴が1.2.3.4.5.6…。


数えるのも面倒になって目頭を抑えると、また携帯が震え始める。


ため息を着いて小さく光る赤い丸をスライドさせるとLINEの画面を開いた。



〘ごめん。今日行かれへん。〙



すぐ着いた既読にもう一度ため息が出てしまうのはどうしてか。




〔なんで？来てくれるって言うたやん。〕

〔どこで何してんの？電話出てよ、〕



〘小中一緒やった親友と10年ぶりに再会してん。〙

〘今日は飲みに行ってくるから、また今度埋め合わせする。〙



〔たあくんは私に会いたないん？〕

〔最近いっつもそんなんやん〕

〔たあくんのお友達やったら私も行ってもいいやろ？〕

〔いまどこおんの？〕





空気の読めない彼女に苛立って仕方が無い。


10年ぶりの再会にどうしてそんなに水を差したいのかわからない。

俺の友達やったら当たり前のように自分も行っていいだろうと考える思考回路がわからない。



彼女って俺を癒してくれるものじゃないん？

なんでこんなにストレス溜めてまで女の子と付き合わなあかんの？

それやったら体だけの方が楽やん。



疲れた頭が思いつくのはそんな最低な考えだけで、トーク画面を開いたまま何も返せなかった。



〔たあくん？〕

〔どこ？〕

〔既読無視せんといてーや〕



｢お待たせえ〜！｣



ぽんぽんと軽い音と共に送られてくるメッセージに顔を顰めた時、優しく間延びした声が後ろから聞こえた。


俺は何も返信することなくマナーモードに設定すると、携帯をポケットに突っ込む。


｢そんな待ってへんよ、おつかれ！｣




久しぶりに自然に笑えた気がした。




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