大倉さんと親友【緑】

大倉の親友 ページ13

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大倉が出てるドラマを見終わって、本人に感想言いたくて大倉に電話をしてみた。


今日飲まへん？って聞いたけど、友達と飲んでるみたいでしゅんと肩を落とす。


でも電話越しに話す声が聞こえて、友達がいいって言うてるけど来るか？って。


早速着替えて言ってみれば座ってたのは女の子で、俺は顔を顰めた。




大倉は、正直に言うと女運がない。


今まで付き合った子はだいたいファンに匂わせたり、わざと撮られたり、ベラベラ喋ったり。


一応にこやかに挨拶を済ませて、俺の差し出した手を握った女の子、いい子？悪い子？




とりあえず座って、その子が頼んでくれたビールを飲んだ。


名前はAちゃん。


仲良さそうに大倉と喋りつつ、たまに俺にも話題を振ってくれる空気の読めた子で、会話もそれなりに弾むのになんだかいけ好かない。



間もなくしてやってきた料理に手をつけながら、最近ハマってる音楽とか、趣味の話になって。




｢安田さんはギターしてはるんですよね〜？｣

｢そうやで〜、Aちゃんはなんか楽器できんの？｣

｢Aめっちゃできんで！ドラムもベースもギターも！｣

｢めっちゃ言うほどできひんよ〜！それでお金食べてる方に申し訳ない｣


なるほど、音楽も好きなのか。

話せば話すほど下心は感じないし、ただ普通に友達のような子で、なんだか不思議な感じだった。



Aちゃんは、目の前の筑前煮に手をつけると椎茸を大倉の皿に何も言わず移動させて、めちゃくちゃ美味しそうに鶏肉を頬張る。


大倉は何も言わずにそれを食べると日本酒をチョイスした。


え？付き合ってる？でも大倉ってふわりちゃんと付き合ってたんじゃ？なんて疑問が次々浮かぶけど、なかなか口に出すことはできない。



そんな二人の距離感に首を傾げながら一杯目のビールを飲み干すと、間に座っていた大倉がトイレに立った。


だいたい今までの女の子はここで俺と連絡先を交換しようとするタイプが多い。


俺はギュッと身構えながらもそれを表に出さないようにニコニコと愛想を振りまいた。




｢ふは笑｣

｢え？笑｣

｢安田さんっていい人ですね！笑｣

｢ん？なんで？｣

｢だってさっきからめっちゃ私のこと警戒してはるでしょ？笑｣




気づかれていたのか、様子を伺うように彼女を見れば、怒る様子もなくにこやかに微笑む。



｢こんなに心配してくれるお友達がおるなんて知りませんでした、大倉のこと、これからも仲良くお願いします。｣


｢いや、こちらこそ、、｣







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