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タイムリーヒット ページ36









受験が終わって、志望校合格が決まった。



お母さんが泣いて喜んで、二人で鍋をつついてケーキを頬張った三日後のこと。






「お母さんな、」

「うん」

「Aに会ってほしい人おるねんけど、」





モジモジしながら困り眉で私にそう話しかけるお母さんは最近仕事を辞めたみたいだった。



以前よりだんだんと雰囲気が柔らかくなって、もっともっと楽しそうに笑うようになったお母さん。



ああ、女の子は恋をすると綺麗になるって、こういうことか、と納得した。



何も言わない私に不安を抱いたのか、お母さんは私の顔をのぞき込む。



「もっと早く言うてくれたら良かったのに!笑」

「せやかて受験あったからあんまり混乱させたらあかんなあと思って、」




安心したように顔を赤らめて天を仰ぐお母さんに、私の心も綻んだ。


お母さんがこんなに嬉しそうに笑うんだからきっと素敵な人に違いない。


天国のお父さんだってきっと笑っている。


私達は幸せ者だ。









「皇 拳士と申します。」


「すめらぎさん?」


「はい、珍しい苗字でしょう笑」




私の前でスーツを着て微笑むのは黒髪オールバックのキリッとした男性で、少し安心した。



お母さんとは接待で行ったゴルフ場で知り合ったらしく、時々顔を赤く染めながら馴れ初めを話す姿は優しそうだ。



すめらぎさんは少し後ろに下がって深々と頭を下げる。




「Aさん、」

「はい。」

「貴方のお母さんと貴方を、必ず守ります。幸せにします。お母さんと籍を入れさせてください。」

「顔を上げてください、」




恐る恐る顔を上げたすめらぎさんは、緊張で強ばっていて、後ろにいるお母さんも心配そうにこちらを見ているのが分かった。



私の答えはただ一つ。



「母を、そして私を、よろしくお願いします。」


「、ありがとうございます」


「ただし、条件があります、まず1つは私の父の形見の楽器やCD、レコードを捨てたり壊したりしないこと。父ありきの母と私です。父にもしっかり挨拶してください。」


「もちろんです。」


「2つ目に、母を絶対に大切にすること。私のたった一人の大切なお母さんですから、何があっても傷つけることは許しません。」


「はい。」



「最後に、私は貴方を「お父さん」と呼べません」





場が凍った。







特大サヨナラホームラン→←三振



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じょび(プロフ) - tadamomopiさん» ももくらさんありがと!!!!!!! (2019年3月30日 13時) (レス) id: 7786978901 (このIDを非表示/違反報告)
tadamomopi(プロフ) - やっぱりやっぱり大好き( ; ; )( ; ; ) (2019年3月28日 23時) (レス) id: fd599d71d8 (このIDを非表示/違反報告)
じょび(プロフ) - オクラさん» オクラさん!コメントありがとうございます!(○´ー`○)頑張ります! (2018年8月19日 11時) (レス) id: cab6392b32 (このIDを非表示/違反報告)
オクラ - とても面白いです(><)更新頑張ってください!!! (2018年8月19日 11時) (レス) id: 7ba911c0c9 (このIDを非表示/違反報告)
じょび(プロフ) - ∞くらら∞さん» ∞くらら∞さん!コメントありがとうございます!頑張ります!!! (2018年8月2日 1時) (レス) id: cab6392b32 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:じょび | 作成日時:2018年7月9日 15時

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