とうふ ページ20
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｢A｣
寝てしまっていたみたいだった。
お母さんの声で、夢から醒める。
夢を見ていたことは確かなのにどんな夢を見ていたのか思い出せなくてもどかしい。
でも、今はそんな事考えてる場合じゃない。
お母さんの声が、ちょっと怒ってる。
｢この子、どうしたん？｣
お母さんの目線の先にはとうふ。
少し寝て元気になったらしく、お母さんが出したと思われる水のお皿に顔を突っ込んでいる。
｢、、拾った。｣
｢なんで｣
｢可哀想やったから｣
｢どこにおったん｣
｢コンビニの近くのダンボールの中に｣
そこまで質問して、お母さんは真っ黒な大きい瞳で私を見つめる。
お母さんの、この顔が好き。
何かを真剣に考えてくれている時の顔。
私のランドセルを選んだ時も、私の誕生日のケーキも、私がしたどうでもいい疑問も、一生懸命考えてくれるこの顔が好き。
じっと見つめ返しても、お母さんが何を考えてるかなんてわからない。
じっくり30秒。
その後お母さんはとうふに目を移した。
そしてゆっくり瞬きをする。
｢この世界の中にいるたくさんの可哀想な捨て猫を拾って生きていけるわけじゃないやろ？｣
｢うん｣
｢そんな目先の同情だけで命を拾う大きい決断を簡単にしたらあかん｣
｢はい｣
｢でもAも拾ったし、お母さんも了承したから、2人で責任とろな？｣
｢うん！｣
お母さんは眉毛を下げながら私の頭を撫でる。
嬉しくて嬉しくて、口角が自然と上がってしまう。
その日は小さな暖かさが途切れないように、2人と1匹、同じ部屋で眠った。
次の日は新年からてんやわんや。
動物病院にいって、ペットショップにいって、赤い小さな首輪をとうふにプレゼント。
真っ白な毛並みに赤がよく映えた。
とうふの健康状態は思ったより良くて、栄養失調からの回復も早かった。
早いと言っても終わった頃には同時に冬休みも終わっていて、久しぶりの登校日。
お母さんが帰ってくる時間にランドセルを背負う。
｢ただいま〜！｣
｢おかえり！｣
｢いってらっしゃい！｣
｢いってきます！｣
お母さんとハグをして、ドアを開ける。
｢にゃお｣
振り返るとそこにはとうふがいて、猫の言葉はわからないけどきっと、いってらっしゃいって。
｢いってきます｣
頭を撫でるとまだ眠いのか、欠伸をしながらお母さんのあとを付いて部屋に入って行った。
今日も今日とておくらの家へ向かう。
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じょび(プロフ) - tadamomopiさん» ももくらさんやろ！！！IDでわかるんやからね！私も好き！！！ (2018年12月17日 8時) (
レス) id: cab6392b32 (このIDを非表示/違反報告)
tadamomopi(プロフ) - すき！！ (2018年12月8日 20時) (レス) id: dd33592cf0 (このIDを非表示/違反報告)
じょび(プロフ) - ゆうさん» 住野よるさんの作品素敵ですよね！嬉しいお言葉ありがとうございます！頑張ります！！ (2018年8月29日 16時) (レス) id: cab6392b32 (このIDを非表示/違反報告)
ゆう(プロフ) - そうです！！！住野よるさん私も大好きです！！！これからもじょび様の作品楽しみにしております(^^) (2018年8月28日 22時) (レス) id: d221d00b99 (このIDを非表示/違反報告)
じょび(プロフ) - ゆうさん» ゆうさん！コメントありがとうございます！住野よるさんの文学作品のことでしょうか、、、それならとっても嬉しいです！あの作品、とっても大好きで何回も読み返したのを思い出します(> <)意識はしてなかったのですがとっても嬉しいです！ (2018年8月28日 22時) (レス) id: cab6392b32 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：じょび | 作成日時：2018年4月8日 1時
