8人目の彼女は性別迷子∞yellow① (ページ20)

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「いや、でも俺は気付かなあかんかったって思ってる。ほんまはA、気付いて欲しかったはずやから」

『っ……うん…、ほんまはみんなに気づいて欲しいって心の中では思ってた。ほんましんどくて自分否定しまくってて、消えてもええかなってくらいやってん。やから…潤のおかげでなんとかなった感じはする』

正味、潤くんの件を聞いてモヤモヤしとる俺もおる。
でも過去のことやし、逆にそんときに潤くんがおってくれたことで今のAに繋がっとるんや……そんなこと思うと、まぁ、うん。
俺も自分のこと棚に上げすぎとるし、ちゃんと、な、うん。
むしろ、俺のがやましいことしとるし、うん。
けどな、
けど…
…けど！

「潤くんには感謝、なのはわかってる…けど」

『けど？』

「できれば俺がその立場になりたかったなぁ」

我慢できんかった俺の本音。
それを聞いてAは眉をハの字にさげて

『やっぱしそう思う？』

と言いながら苦笑い。
でも、過去のことは過去のこと。
そう自分に言い聞かせる。
やって、今の俺の立場は

「当たり前やん。Aのこと好きやもん」

それに彼氏やし。(期限付きやけど)

『ーーえっ』

「あ。赤くなった」

ここ数分でいろんな表情が見れたなぁ。
思わずニヤニヤ笑ってると、Aはキッと俺を睨んだ…と思った瞬間

『なんかムカつく』

ちゅっ

「ーーーっ！」

まさかキスされるとは思わんくて、抱きしめてキスし返そうとしたら

『おやすみ！！』

くるっと体を反転させて俺の視界から顔が見えなくなった。

ふと耳を見ると赤くなってて

「ふっ…」

かわいいなぁ、ほんま。

「はいはい、おやすみ」

『わ！』

肩を引き寄せ後ろから抱きしめる。

「なんもせんよ。でも、今日はこうして寝させてな」

『…ん』

ぎゅーっとすると、フワッとAの香りが俺を包み込む。
幸せやなぁって思いながら、理性を保ちながら眠みがくるのを待った。