貴様らとっくに両想いだからな！？[２]【天祥院英智】 (ページ8)

今日:7 hit、昨日:20 hit、合計:73,514 hit

_56 ページ8

－Eichi Side－

「あぁ。実は、英智を除く生徒会メンバーだけでは仕事が回らなくなってきてな……。

特に体調に問題がないのなら、貴様にも手伝ってほしい」

仕事がしたかったのだろう？と普段笑わない彼が、目の前で気色悪いくらいの笑みをつくっている。

「体調に問題がないのなら」とか言っているけれど、当の本人は手伝わせる気満々なのだろう。

それにしても、タイミングが悪いなぁ。

「……仕事を手伝うのは構わないけれど、今からかい？」
「あぁ」

「明日じゃダメかな？」
「期限が迫ってるものもあるんだ。出来るだけ早く終わらせておきたい」

それじゃあ仕方ないか、と紅茶を飲み干し、席を立つ。

創くんには申し訳ないけれど……日を改めて、またお茶会を開こうね。
そう言うと、創くんはパッと顔を綻ばせ、勢いよく頷いてくれた。

後片付けも任せてしまうのは流石に……と思ったけど、敬人があまりにも急かすのでそんな暇も無かった。

＿＿＿

「悪かったな。部活中に」

「今更謝られても。本当に悪いと思ってるなら、明日でも良かったんじゃないかい？」

「そういうわけにもいかないんだ。すまんな」

「……ふふ。まぁいいよ。もし明日でも大丈夫って言われても、元から手伝うつもりでいたからね」

生徒会室を目的地に廊下を歩いていれば、突然振り返って謝罪を口にしてきた幼馴染み。
……今日の敬人は、どこか変だ。

そのままお互い無言で歩を進めていくと、階段に上ろうとしたところで立ち止まる目の前の背中。

危うくその背中にぶつかりそうになってしまったけれど、どうしたのと問おうとすれば、敬人はあらぬ方向に顔を向けていることに気付く。

「敬人？」

「……あの2人、いつの間に親しくなっていたのか」

益々不思議に思って、敬人と同じ方向へ視線を向ける。すると彼の言う通り、視線の先には2人の人影があって。

距離があるせいではっきりとは見えないが、目を凝らすと、そこにはAちゃんと……朱桜さんちの、司くんの姿があった。

何となく、珍しい組み合わせである。

「……敬人？行かないの？」

一瞬だけ見た途端、再度進み始めるのかと思いきや、ずっとあの子たちを見つめる敬人。

……好きな子が僕以外の人間と仲良さげに話しているんだ。
不本意にでも、黒い感情が芽生えつつある……このまま見ているのは耐えられない。

.